国立公園で野生動物の保護をしたり、希少種の植物を守ったりする仕事はやりがいがあり、ひとりで黙々と山の中や海の上で作業をこなす適性には自信があった。

 茨城大学理学部生物学科に進学して、長期休暇の際は牧場で長期の住み込みバイトなどをしていたが、レンジャーは山スキーが必須と聞き、ニセコの山小屋で長期の住み込みのバイトをしつつ、夜はスキーの練習をしたりもした。

将来の夢が揺れるなか
卒論の時期が迫ってきた

 いろいろな授業や実験をこなしていくうちに、「やはり生物学って面白いな」と思いを新たにしていた3年生のとき。大学の掲示板に張り出された「公開臨海実習募集!」や「公開臨湖実習参加を募る!」といった貼り紙が目にとまる。なんと、魅力的な!これこそ、大学に来た醍醐味だ。

 大学3年の夏は、自分の所属する茨城大学の野外実習、臨海実習、臨湖実習(それぞれ1週間の合宿)に加え、さらに信州大学の諏訪湖での公開臨湖実習と愛媛大学による松山市の離島・中島での臨海実習に参加。合計5週間をフィールドワークに費やした。

 7月から9月は、北から南まで動きまくった。

 そこには僕と同じように自然に関わる勉強や仕事がしたいという学生が多く、レンジャーを目指している子もいた。そんな同年代の仲間と同じ釜の飯を食べながら生物の調査をじっくりと行うのは、夢のような時間であった。こんな生活も良いな、そんなふうに実感させられた2カ月間であった。

 そうこうしているうちに、国立公園のレンジャーになっても30代には霞ヶ関に呼び戻され、デスクワークで残りの人生を費やすことになる、ということがわかってきた。

 そ、それは嫌だ……。将来の夢が定まらぬ中、早くも卒論のテーマを考える時期となった。

 研究は是が非でも社会性のある動物の行動学がしたかった。題材は鳥か哺乳類がいい!

 そう考え、オオヨシキリの婚外交尾研究の論文を熟読したり、オーストラリアの動物行動学者コンラート・ローレンツやオランダの鳥類学者のニコ・ティンバーゲンの書物を読んだりしながら勉強をしていた。

 ただ、研究室配属の際、担当教授の田村浩志先生から予期せぬ言葉をいただく。