パート収入「106万円の壁」とは
知っておきたい社会保険加入の条件

 まず「106万円の壁」についておさらいする。

 次の条件を全て満たすと、パートタイマーも社会保険に加入しなくてはならない。Aさんは、夫の扶養を抜けて社会保険に加入すると、社会保険料の負担が発生するので、手取りがガクッと減ることになることを懸念している。

(1)月当たりの所定内賃金が8.8万円(年収換算で約106万円。法律上は「月収8.8万円の壁」である)以上
(2)週当たりの所定労働時間が20時間以上
(3)勤務先の従業員数は51人以上
(4)見込み雇用期間が2カ月以上
(5)学生ではない

 Aさんは、今後も今の会社(従業員数51人以上)で働くつもり。学生ではない。(3)(4)(5)の条件はすでに該当している。

 残るは(1)と(2)。12月に週20時間以上勤務し、月収が8.8万円を超えると、社会保険に加入し、社会保険料が引かれるのだろうか。

 ここで知っておきたいのは、月収が8.8万円を超えても、必ずしも即、社会保険の加入対象になるわけではないということだ。

 繁忙期によって一時的に基準額を超えただけであれば、社会保険の加入義務はない。

 2カ月連続で労働時間が週20時間以上を超えるなら、3カ月目で社会保険に加入が必要とされているが、12月の繁忙期のみであれば、未加入でOKだ。

 この「繁忙期等の一時的な基準額超えは社会保険加入義務がない」ことは、パートタイマーのみならず、勤務先のシフトを組む社員にも知らない人が多い。

 Aさんは、12月のシフトを数日増やす要請を受けてもいいのだ。収入もアップする。

「130万円の壁」を超えると
配偶者の社会保険の扶養を外れる

「パート収入の壁」にはもう一つ、「130万円の壁」がある。

 配偶者の社会保険の扶養でいられるかどうかの基準額の年収130万円を超えると、パートタイマー自身が国民年金や国民健康保険の保険料を負担することになる。勤務先の社会保険(厚生年金・健康保険)の保険料は労使折半だが、国民年金と国保の保険料は全額自分で負担するため、その負担は重い。

 ここでも知っておきたいことがある。繁忙期等で一時的に月収が増えてしまい年収が130万円を超した場合、国の救済措置があるのだ。