トキ、スキップができた

 リヨだった。

 城山稲荷神社に行ったら、ヘブンはリヨをほったらかしで、狐に夢中。

 ヘブンは、江藤と錦織が尾行していることに気づいていて、ふたりも誘い、ふたりきりのランデブーでもなく4人になってしまっていた。

「アンビリーバブル!」

 がっかりしたリヨはひとり戻ってきてしまった。

 結果的に、糸こんにゃくをヘブンが見て逆上することはなかった。糸こんにゃくを見て逆上した彼を見たら見たで、ランデブーは散々なことになっただろうから、そちらよりも狐に夢中なヘブンのほうがマシだったのではないだろうか。

 夜、ヘブンは、今日見た狐や、以前見た月照寺の大亀などの絵を描いて、トキに見せる。どれも彼が心引かれたもので、愛情がこもった絵だ。

 そのなかに、トキが生けた椿の一輪挿しの絵もあった。

 ヘブンの気に入ったもののなかに、生け花があったことをうれしく感じるトキ。帰りに、足どりが軽くなり、ついスキップをしてみると、不思議と体が動く。

 トキの軽くなった心持ちが身体を解放したのだろう。うれしくなって、大はしゃぎ。

「できちょる!」
「たったたった」
「わーいわーい」

 というトキの声が、ヘブンの仕事場にも聞こえてくる。いつもは物音をうるさがるヘブンだが、トキのはしゃぐ声にほほ笑み、「たったたった」と口ずさみながら仕事を続ける。

 延々、スキップを引っ張ってきたことが、ここで意味を成した。

 ヘブンがリヨと仲良くならなくて内心ホッとしているのと、彼の好むものが自分には好ましく思うのと、それを自分に見せてもらえたことがうれしいのと……。いつも、わりと無愛想というか、ネガティブキャラのトキの殊勝なところが、見ている側にもよく映る。

 いい感じになってきたふたりをスキップの向上で見せる、ほっこりした週末だった。

 トキの生け花も美しく、目の保養になっている。生け花にはトキの武士の娘らしさが感じられる。凛として華やかなのは習い事を教えているタエ(北川景子)らしさのようにも思う。

そりゃ、そっくりなワケだ…!“135年前の島根県庁”のロケ地が意外な日本最古スポットだった〈ばけばけ第45回〉
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