最先端のテクノロジーとの向き合い方
数理・データサイエンスの授業風景 写真提供:日本医科大学
――早稲田大学とは一部、授業交換も行っているようですね。
弦間 先端技術を駆使した研究に触れるため、早稲田大学や東京理科大学などの研究室で研究するプログラムも設けて、学生の研究配属(8週間)を行っています。その後の継続も可能な状況です。もう一つは、教養の講義の単位互換です。
――ICTやAI(人工知能)の発展は医師のあり方にも影響を及ぼしませんか。
弦間 医療医学に関わるようなものについては、データサイエンスやAIの専門家とも話ができる共通基盤を学生に身に付けてほしい。3年生以上は情報等の学びが少ない世代でこの点が弱く、このままではかわいそうなので、再教育をして医療現場に向き合えるようにしている。そうした状況は今後も生まれるので、再教育の機会を保っていきたい。
具体的には、「数理・データサイエンス・AI教育センター」を設けました。文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」でも、私立医科大学で唯一「リテラシーレベルプラス」に選ばれ、先導的で独自の工夫・特色を有するプログラムとして評価されています。
――他にも医療との関わりはいかがでしょう。
[聞き手] 森上展安(もりがみ・のぶやす) 森上教育研究所代表。1953年岡山生まれ。早稲田大学法学部卒。学習塾「ぶQ」の塾長を経て、1988年森上教育研究所を設立。40年にわたり中学受験を見つめてきた第一人者。父母向けセミナー「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰している。
弦間 本学の救急医療には定評があります。ドラマ「コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」(2008年/フジテレビ系)のロケ地に選ばれたのは、日本で初めてドクターヘリを千葉北総病院(千葉・印西市)で本格運用した実績があったからです。番組を監修した救命救急センターの松本尚元教授は、衆議院議員に転じて、高市早苗内閣でデジタル大臣に就任しました。
「救急救命VR(仮想現実)」による臨床学習のコンテンツづくりも行っていますが、救急医療を理解し、その入り口のハードルを下げる効果が大きいです。救急を経験すると腹が据わる。座学だけでなく、現場で覚えてほしいと思います。
――最近の男女別の合格者数を見てみると、2023年は女子の方が多いですね。
弦間 年によって変わりますが、入学者の4~5割は女子です。女性教授も2割を超えるようになりました。
以前、医学部で女子受験生が不利に扱われていた不正入試問題が起きたことがあります。本学の場合、合格比率に男女差は昔からありません。
――日医大はリベラルな校風で知られていますから。少なくとも10大学で不適切な得点調整が行われていたと結論付けられていましたね。
弦間 本学では1次試験は完全にマスキングして、性別も分からない状態で第三者に結果を入力させて、順番を付けています。2次試験の面接で男女は分かりますが、アドミッションポリシーを踏まえた上で、基本的に点数のいい人を合格させています。
羽田空港での救急医療訓練の様子。医師、看護師、救命士、調査員などチームで迅速に取り組む 写真提供:日本医科大学







