筆者作成
気象庁も想定外の猛暑
大気汚染の「改善」が原因!?
今年の異常な猛暑は、気象庁も予想できていなかった。2月に発表された夏の天候見通しでは「平年より気温が高くなる」とした上で、「去年ほどの猛暑にはならない」と伝えていたのだ。
猛暑の原因は早い梅雨明け、太平洋高気圧の勢力が強さ、チベット高気圧の張り出し、偏西風の蛇行などが挙げられる。しかし、世界中の観測データやスーパーコンピューターを駆使して出された想定を大幅に上回るということは、まだまだ解明されていない原因も多くあるはずだ。
気象研究者が指摘する近年の猛暑の原因について、筆者が驚いた説がある。「空気がきれいになっている」という説だ。国際規制で船舶にクリーン燃料が使われるようになったことで二酸化硫黄が大幅に削減され、中国・北京の大気汚染が大幅に改善されるなど、世界各地で空気がきれいになっている。
日本も例外ではなく、実は東京都が観測する「東京から富士山が見えた日数」が40年前に比べて倍以上に増えている。空気がきれいになると遠くの景色が見やすくなるからだ。その裏、空気がきれいになると日差しを遮る微粒子が減少し、より直接的に太陽光が届く。これが厳しい暑さを引き起こす。
まさか大気汚染の改善が猛暑の一因なのか……さまざまな説が浮かぶが、気象庁の異常気象分析検討会によると「地球温暖化がなければ今年のような猛暑は起こらない」という結論が出ていることは忘れてはならない。
筆者作成
本当に秋は失われたのか
データで一目瞭然
気象的に夏とは8月までだが、近年は9月も真夏日が続いている。今年9月の東京の最高気温の平均は、30.9℃だった。これはほぼ平年の8月くらいの値だ。つまり、一昔前に比べて前後に1カ月ずつ夏が長引いているといえる。
旬別(10日ごと)の平均気温を見ると、「失われた季節」が見えてくる。8月から10月上旬までは最高気温の平均は25℃以上で、平年を大幅に上回っている状態が続いた。しかし、10月中旬になると一気に冷たい空気が流れ込み、平年を下回った。20℃~25℃の最も過ごしやすい時期をすっ飛ばして、肌寒い季節に突入したことがデータに現れている。







