「やる気ゼロの社員をなんとか普通レベルには持っていきたい」←このマネジメントが失敗に終わる理由写真はイメージです Photo:PIXTA

多くの管理職が抱える悩みの1つが、無気力な社員へのマネジメントだ。その解決のヒントとなるのが、2023年夏の甲子園を制覇した、慶應義塾高校野球部監督の対応。試合に出られずに腐ってしまいそうな選手のモチベーションを、見事な手腕で引き出しているのだ。部下のやる気を漲らせるための、リーダーの心得とは?※本稿は、慶應義塾高校野球部監督の森林貴彦『成長至上主義のチームデザイン――成長こそが慶應の野球』(東洋館出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

繊細なZ世代への指導は
管理職たちの悩みの種

 指導者や一般の方とお話ししていると、チームづくりに関する質問を受けることがあります。よく聞かれるのが「モチベーションが低い選手への対処法」です。

 管理職や経営層の方から、「優秀な部下のモチベーションが上がらない」という悩みとその解決方法を聞かれることもあります。

 特に“Z世代”と括られている若者世代に、「これまでのようなアプローチが通用しない」「厳しいマネジメントを適用するとむしろモチベーションを下げてしまい、すぐにやめてしまう」といった不安を抱えている方が多いようです。

 世代間ギャップは、どの時代にも起きることですが、高校野球の監督である私が常に世代の異なる選手たちと触れ合っていることからこうした相談が寄せられるのでしょう。

 主体性をもって、自ら考える選手を育てるためには、選手1人ひとりに目を配ることが大切ですが、チーム全体のエネルギーにも注意する必要があります。

 足を引っ張り合うような組織ではなく、お互いを高め合う組織にするためには、チーム全体をどうマネジメントするかという観点も必要です。