もちろん意欲の低い2割を見捨てるわけではありません。彼らにも適切なケアを行いながら、小さな目標を示し、場合によっては環境を変えるなどのサポートを行います。

 しかし、チーム全体のバランスを考えると、まず真ん中の6割に火をつけることが最優先です。中間の6割を軸に成長させることで、上位の2割は突き上げに危機感を抱き、良い意味での競争心が芽生えます。

 下位の2割は6割の取り組みや挑戦、成果を見て刺激を受け、再設定した目標の実現度に自信を深めて積極的に挑戦するようになるのです。

 このように、チーム全体ながら、それぞれの選手に合った目標設定や環境づくりを行うことが、チーム全体の底上げにつながるのです。

 マネジメントの立場にある人は、「木を見て森を見ず」にならないよう、組織全体の方向性やキーマンの存在を意識し、全体がどのように機能しているかを把握することが重要です。

 日本の教育現場では、できない部分を改善することに焦点を当てがちですが、優れた才能をさらに磨いて伸ばしたり、平均的な生徒たちを引き上げたりする取り組みの方が、長期的な組織の成長に大きな影響を与えます。

 部活動でも教育現場でも企業でも、全体の成長を視野に入れたマネジメントのアプローチが、組織運営の鍵になるのです。