あまりに高すぎる目標は
モチベーションを削いでしまう
たしかに、モチベーションの低い人をやる気にさせるのは簡単なことではありません。
しかし、モチベーションが低い人には、それなりの事情や理由があるはずです。私はまず、その理由を丁寧に探ることが大切だと考えています。
その上で重要なのが、適切な目標設定を行うことです。
例えば高校野球では、全員がレギュラーとして試合に出場できるわけではありません。エースとして背番号1を背負い、マウンドに立つ投手もいれば、登板機会になかなか恵まれない控え投手もいます。入部当初は試合での活躍を夢見て集まる選手たちも現実的には、それぞれ異なる目標をもつことになります。
「ベンチ入りを目指す」「Aチームの試合で一度投げることを目標にする」などは、個々の状況に応じた具体的な目標設定の例です。
「甲子園優勝」「日本一の投手になる」「レギュラーで活躍する」といった高い目標をもつことも大切ですが、実現が難しい、あまりにも高すぎる目標は、「どうせ無理だよ」という思いが先に立ち、努力する気力を削いでしまうこともあります。
志の高い目標、素晴らしい夢が、かえってモチベーションを下げてしまうこともあるのです。
大切なのは目標を細かく区切り、手が届きそうな“スモールステップ”の目標を設定することです。
「今の自分でもがんばれば届くかもしれない」と感じる目標を設定することで、努力しようという気持ちが芽生え、結果としてやる気を引き出すことができるのです。
野球に限らず、どんな競技、どんな仕事、どんな人でも、目標設定が適切にできていれば、やる気を引き出せる可能性は高いと思います。
チーム全体の目標やノルマも重要ですが、部員や社員の1人ひとりをしっかり見つめ、それぞれにとって「少しがんばれば手が届きそうな目標」づくりをサポートすることが重要です。
指導者や上司は、目標を設定するための材料をもっていなければいけません。







