静かな田舎が“スピの聖地”に!グラストンベリーで起きた経済の奇跡写真はイメージです Illustration:PIXTA

「魔女業界でいま最もバズる研究者」として注目を集めるのが、大阪・国立民族学博物館の河西瑛里子助教だ。イギリス南西部のグラストンベリーで“魔女”や“女神信仰”を調査し、信仰と経済が織りなすスピリチュアルな町の実像を探り続けている。静かな田舎町がなぜ世界中の人を惹きつける“聖地”になったのか。彼女へのインタビューから見えてきたのは、人々の信仰心としたたかな経済活動が共鳴する不思議なエネルギーだった。※本稿は、文化人類学者の樫永真佐夫監修・ルポライターのミンパクチャン著『変わり者たちの秘密基地 国立民族学博物館』(CEメディアハウス)の一部を抜粋・編集したものです。

魔女業界でバズる研究者
河西先生が語るペイガニズムとは?

 2023年に民博にやって来たばかりの河西瑛里子先生はイギリスのグラストンベリーという町を中心にスピリチュアリティやペイガニズムを研究している。このところ日本では「魔女」を名乗る人が増えているので、魔女業界(!?)からも注目を集める。民博の広報誌『月刊みんぱく』で特集を組むとバズる研究者、それが河西先生だ。最近では2025年5月号の「薬草」特集が注目を集め、一般書店などでは買えない冊子であるにもかかわらず売り切れた。

 グラストンベリーはイギリスの南西部にある町である。グラストンベリーの名は音楽好きならば、世界最大級の野外音楽フェス「グラストンベリー・フェスティバル」で馴染みがあるだろう。河西瑛里子先生はこの町でペイガニズムに関わるペイガンと呼ばれる人たちを調査している。

「ペイガニズムっていうのはキリスト教以前にあった信仰で、いまではその復興のことも指すんです」

 河西先生はわかりにくい概念を説明してくれた。