子どもは親の背中から学ぶ
「学びが当たり前」になる
心理学者アルバート・バンデューラの「社会的学習理論」では、人は他者の行動を観察し、その結果を通して学習するとされています。
このモデリング効果は、家庭教育の現場で特に顕著に表れます。
親が机に向かって勉強している姿を見れば、子どもも自然と机に向かう。
親が課題に苦労しながらも粘り強く取り組む姿を見れば、子どもも「努力は格好悪くない」と感じる。
学ぶ姿勢は言葉で教えるものではなく、行動で伝わるものです。
富裕層の家庭では、こうした「努力の見える化」が教育の基盤となっています。
お父さんもお母さんも学び続けている――その事実が、子どもにとって“学ぶことは生涯続く営み”であるという確信につながります。
家庭に蓄積される
「文化資本」
写真はイメージです Photo:PIXTA
社会学者ピエール・ブルデューが提唱した「文化資本」という概念は、家庭の教育力を理解する上で欠かせません。
文化資本とは、知識・教養・言葉遣い・価値観など、家庭の中に蓄積される無形の財産のことです。
親が学び続ける家庭では、日常会話の中に知的なやり取りが生まれます。
ニュースや本を話題にし、歴史や科学の話を子どもと共有する。子どもが疑問を持ったときに、一緒に調べて答えを探す。
こうした繰り返しが、子どもに「学びは生活の一部である」という感覚を植えつけます。
学歴ロンダリングという行為は、単なる肩書きづくりではなく、家庭に知的刺激を取り戻し、文化資本を再構築するプロセスでもあるのです。
