世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカルガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。

「なんだか別世界すぎる…」…。富裕層だけが味わえる“東京の秘密のレストラン”とは?Photo: Adobe Stock

日本人のトップ富裕層の食事情とは?

 ここまでは、世界の富裕層のエピソードを紹介してきましたが、当然、日本人にも富裕層はいます。そんな日本の富裕層は、ふだん何を食べているのでしょうか。それが垣間見える一例を紹介します。

 2025年3月。東京都港区に「三田ガーデンヒルズ」が誕生しました。三井不動産と三菱地所がタッグを組んだ一大プロジェクトであり、50㎡でも5億円はくだらないという超高級レジデンスです。

 そこにはざっと1000世帯が居住しているのですが、その6階に、実は特別なレストラン「嶺(れい)」があります。嶺は、全国津々浦々の名店が有期で入れ替わる、キュレーションレストランです。ワンフロア全てに、和と洋の厨房、バーが備えられており、年間約70軒の名店が期間限定でやってきます。

 どんな店がやってくるのでしょうか。
 たとえば、2025年7月の場合は、広島の寿司の名店「壮士」や、秋田のイタリアン「f(エッフェ)」同じく秋田の「日本料理たかむら」などが地方からやってきて、数日間にわたり、美味しい料理を披露しました。

東京で地方の名店が味わえる贅沢

 店は会員制で、会員になれるのは、三田ガーデンヒルズの所有者(賃貸者)と、限られた一部の人だけだと言われます。
 つまり、ここを訪れる人はみな、富裕層ということです。東京にいながら地方の名店の味を知ることができるというのは、非常に価値あることだと思います。地方へ足を運ぶ時間がない富裕層にとっても、もしかすると本店に足を運んでもらうきっかけになるかもしれない店にとっても、ウインウインの関係が構築されているからです。

 ちなみに、このような試みは三田ガーデンヒルズ以外にもあります。東京ミッドタウン日比谷の紹介制・登録型の大人の食のサロン「祿 ROKU」グラングリーン大阪の「秘密のシェフズテーブルO(オー)」などです。

 東京で地方の食の豊かさを味わった彼らが、本店に行ったとして、それだけで帰ってくることは少ないでしょう。周囲のデスティネーションレストランにも訪れることで、ローカルガストロノミーといわれる地方の食文化圏を旅する楽しさも知ることができるはずです。

※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。