中学受験って、楽しくやっているつもりであっても、本人は遊びたい盛りの子どもです。その遊びたいという欲求を減らすっていうのは、このゴールを乗り越えれば、ある程度、自分にとって楽しい生活が待っていると思うからやれている面もある。やりたいことを我慢しているケースは結構あるんですよ。

 それが中学に入ったらやりたいと思っていることだったりしますから、それをやれる環境が中学にあることが重要なんです。クラブ活動とか学校行事とか、それが楽しみで頑張る子もたくさんいます。その抑えられていた部分をある程度解決できるような、それを楽しめるような環境が中学にあるというのは、大きな動機になります。

 中学校という場所が「どうやら楽しそうだ」って思わせることが大事だと思いますし、実際、楽しんでいる中学生は多いです。たとえ、中1から塾に入ることになったとしても、今まで週5〜6日で塾に行っていたのが、せいぜい週数回になりますから、自由時間は格段に増えます。

 低学年の頃は子どもの成績がまだ安定しないので夢を持って学校巡りをするのですが、だんだんと現実味を帯びてきやすいのも事実です。それでも5年生までに、受験校の候補になる学校を見せたほうがいいと思います。やっぱり、1回でも2回でも見たことあるのと全く見たことがないのとでは大きな差がありますから。

 子どもは直感的に学校を選ぶ傾向があります。何校か見せると「ここに決めた!」と言って、本当にハマる子もいます。ただ、そういう子ばかりではないので、親は学校を訪れた際に子どもの反応を観察しつつ、冷静な判断軸を持つことが非常に重要です。

――実際に学校主催の説明会に出向いた際は何に注目したらいいでしょうか?最近は他校と同じようなことをおっしゃる説明会に遭遇します。

 昨今はどの学校でも「AIの発達で仕事が奪われる」「21世紀型教育」「知識偏重ではなくプレゼン・探究に力を入れる」「海外大学進学や海外留学プログラムをご用意」なんて言葉で溢れますね。