やはり、誰かの何かの受け売りではなく、建学の理念や精神に基づき自分たちの言葉で明確に教育方針を語る学校は強いと思います。学校説明会では教育方針と共に理念をどれだけ強く語っているのかに注目してみてください。
私学の1丁目1番地は建学の精神です。創設者の熱い思いを大切にしながら、なおかつ時代の変化に合わせて、それをどう合わせていくかということがすごく大事だと思っています。
例えば2022年4月に女子校である赤羽の星美学園から共学校になった「サレジアン国際学園」。この学校は修道院を持っているカトリック校ですので、キリスト教についてもきちんと学べる。カトリックは世界宗教だから、キリスト教を学んだうえでグローバル教育を広げたいと、至極まっとうなことをおっしゃるんですよ。
栄東も創設者である故佐藤栄太郎先生の「人間是宝」(=人間は一人ひとりが宝の原石であり、その原石を磨き上げて宝とするために教育がある)という言葉が、今でも学校説明会でのキーワードになっています。歴史の浅い学校だとしても、創設者の理念が先生方に浸透していて、しかもそれが人間を大事にするというのが非常にいいことだなと。やっぱりこういうのが素晴らしいと思うんですよ。
ダメな学校ですと、そういう過去を全部捨てちゃって、今がスタートラインになってますからね。学校がどんなに大変な状況であったとしても、建学の理念について、きちんと話しているかどうかは結構大きいと思いますよ。私学は理念ありきなので、これを今も大切にしているのか、それとも、今や完全に抜けちゃっているのか、そこはやはりチェックしてほしいなと思います。
――近年、経営上の問題で女子校が共学化し新しいスタートを切っている学校が目立ちますが、例えば開校時、期待の高かった芝国際はどんな感じでしょう?
芝国際は今年また人気を盛り返していますね。あの学校は探究学習であるとかプレゼンが大事なのはもちろんだけど、それにはきちんと勉強させて基礎学力をつけるのが前提だという考え方なんです。校内予備校を開講して学力を付けるということもやっていて、バランスはいいように感じます。やはり学力向上に魔法はないですから。







