40年も営業の老舗遊園地だが
「生き残れた=実力あり」とは言えない
さて、現在の石景山はどうなっているのでしょうか。テーマパーク世界ランキングのトップ20には出てこないですし、入場者数などは公表されていないので詳しいことが分かりません。なお、入場料は10元で、07年時と変わりません(ただし乗り物代金は別)。
40年も営業し続ける老舗遊園地ということは、普通なら集客できていると考えますが、石景山は中国国営なので「生き残れた=実力あり」との判断はできかねるでしょう。
中国・北京の石景山遊楽園、2025年の国慶節 Photo:VCG/gettyimages
アザーワールドの城を建てたのは
上海ディズニー建設会社だった!
翻って台湾のアザーワールドは、なぜディズニーランドのパクリと言われてしまったのでしょうか。園内のシンボルでもある城は、ピンク色の外壁にブルーの屋根が特徴。台湾のSNSでこの城が「まるでディズニーのよう」と広まり、週末にはおよそ1万人が来園するほどの人気になりました。
この城を建てたのが、台北の建設会社・豪門国際開発です。同社の会長は、上海ディズニーランド(2016年開業)の城の建設に携わった人物であったため、疑惑に火が付いたのです。アザーワールドの開業後、米ディズニー関係者から「模倣作品をつくったのか」と問い合わせが相次いだとのこと。
この騒動に対して同社会長は、「由々しき事態です。放置しておけません」「過去の仕事仲間らが守秘義務に違反したのではないか、模倣作品をつくったのではないかと電話で問い合わせてきた」などと、戸惑っている様子。
実際に上海のディズニーランドの城と比べてみると、形は異なるように見えますが、色使いは似ています。疑念を晴らすため、建設会社は「一切関係ない」との声明を出しました。
芸術の多くは、最初は模倣から始まる
ディズニーの色彩表現を参考にした
アザーワールド運営会社はどうでしょうか。同社の毛鐸翰会長特別補佐は、「私たちには自作のスケッチがあり、完全オリジナル」と反論。創業者が幼少期に思い描いた理想の城であり、地元の名産品である梅や稲穂などのモチーフが装飾してあるので、「全く別物」と主張しています。
一方で、「芸術の多くは、最初は模倣から始まるもの」「私たちは彼ら(ディズニー)の色彩表現の方法を参考にはした」ともコメントしています。なるほど、言い得て妙とはこのことです。
アザーワールドの公式サイトには英語表記がないことから、外国人を集客する気がないことがうかがえます。入場料は大人ひとり250台湾元(約1250円)なので、東京ディズニーリゾートと比べたら激安です。
「訪日台湾人の人気観光地ランキング2024」(アジア・インタラクション・サポート調べ)によると、1位が富士山、2位が東京ディズニーリゾート、3位が立山黒部アルペンルート、4位が白川郷・五箇山の合掌造り集落、5位がユニバーサル・スタジオ・ジャパンでした。
台湾の人は東京ディズニーリゾートが好きと言えそうです。とはいえ海外旅行はお金がかかりますし、東京ディズニーのワンデーパスポートはずいぶん値上がりして1万円ほどするので、手軽な台湾版ディズニーランドが人気を博すのでしょう。







