AI壁打ちには「問いのスキル」が求められるという点で、「モヤモヤ状態からのスタート」が前提となる壁打ちには、実はハードルが高い相手とも考えられるのです。

 AI壁打ちをする場合には、以下のポイントを意識するといいでしょう。

・質問はなるべく具体的に、背景も含めて伝える
・最初の問いは「仮説」や「アイデアの種」に絞る
・返ってきた答えはすぐにうのみにせず、違和感があれば問い直す
・複数のAIサービスを試して、目的によって使い分ける

 AIとの壁打ちで大切なのは、「問いを洗練させる」という視点。

 その問いのチューニングこそが、あなた自身の思考力の証明になるのです。

4種類のAIサービスに
壁打ちの実践例を聞いてみた

 AIサービスにも、様々な種類があります。使っている人が多いのは、ChatGPTやGeminiでしょうか。

 試しに、「社員のエンゲージメントが下がっていて、1on1での壁打ちを強化したいと思っている。過去に実践例があれば教えて。400字以内にまとめてね」というサーブを、ChatGPT、Gemini、Grok、Copilotにそれぞれ投げてみました。

 それぞれの答えをお見せします。

ChatGPT
 メルカリでは、急成長による組織の分断を防ぐため、1on1を全マネージャーに義務づけました。週1回・30分の1on1を通じて、上司は部下の話を「聴く」姿勢を徹底。対話の質を高めるため、社内でトレーニングプログラムも整備しました。LINEでは、1on1をキャリア支援の場と位置づけ、上司に傾聴力や対話力を養う研修を実施。部下が気軽に相談できる環境づくりに注力しています。これらの取り組みにより、社員満足度やエンゲージメントスコアが改善された事例があります。
Gemini
 社員エンゲージメント低下に対し、1on1での壁打ち強化に取り組む企業は多く存在します。たとえば、メルカリは個人の成長とキャリア開発を重視し、目標設定やフィードバック、キャリア相談などを1on1で実施。信頼関係構築に注力しています。サイバーエージェントは若手リーダー育成のため、マネジメントスキル向上やチーム運営の壁打ちを実施。事業特性に合わせた工夫も。

 SmartHRは1on1の質を高める研修やガイドラインを整備し、組織全体のエンゲージメント向上を図っています。リクルートは多様な事業と従業員に対し、個々の成長と組織目標の両立を目指した1on1を実施。経験豊富なマネージャーによる壁打ちやキャリア形成支援も強化しています。これらの事例は、1on1が社員の成長支援、課題解決、信頼関係構築に有効であることを示唆しています。