だが、1990年代に開発された現行Suicaは、電子マネーの先駆けであるが故に制約が多い。FeliCaやスマホのチップに鉄道の利用情報やチャージ残高を記録しており、チップの偽造・改ざん対策や、紛失・盗難リスク軽減のため、チャージ額は2万円を上限とした。
電子マネー機能は当初、駅売店などでの少額決済が中心だったので不足はなかったが、キャッシュレス化の進展で高額決済のニーズが高まると、Suicaではカバーできない領域が大きくなった。しかし、これはハードウェア上の制約であり、変更は困難だ。
そこでteppayは、モバイルSuica・PASMOに紐づくコード決済専用枠(最大30万円)を追加。2つを結びつけることで、アプリから2万円を超えるキャッシュレス決済が可能になった。ただしSuica・PASMOの2万円と、teppayの30万円は独立しており、teppay残高からSuica・PASMOにチャージは可能だが、逆はできない。
キャッシュレス手段の多様化で
FeliCa型電子マネーのシェアが低下
金融・決済のプラットフォーム開発、コンサルティングを行う株式会社インフキュリオンが今年6月17日に発表した「決済動向2025年調査」からSuicaの現在位置を見てみよう。
決済サービスごとの利用率(複数回答)を見ると、クレジットカードが81%、コード決済アプリが72%、Suicaを含むFeliCa型電子マネーが55%だ。2015年からの推移では、クレジットカードは安定して75~80%を記録しているが、2019年調査で初登場したコード決済アプリは急速に利用率を伸ばして迫りつつある。
一方、FeliCa型電子マネーは2020年をピークに緩やかながら減少傾向にあり、コロナ後のキャッシュレス手段の多様化でシェアを低下させている。また、年齢階層別利用率では、20代から50代までコード決済アプリが70%以上なのに対し、FeliCa型電子マネーは60代の66%が最多、20代の45%が最少で、若者の電子マネー離れが見えてくる。
FeliCa型電子マネーが少額決済からステップアップしようにも、コード決済に頭を押さえられており、クレジットカードもタッチ決済の普及で少額決済に進出しつつある。このままではジリ貧になりかねない。
このような状況下ではあるが、Suicaは一定の地位を保っている。全キャッシュレスサービスの利用率では、PayPayが56%で首位、2位は楽天カードが49%、3位が交通系ICカード(Suica以外も含む)の36%で、4位が楽天ペイの27%だ。全国を対象に行った調査であり、交通系ICカードの普及率が低い地域も含まれているため、首都圏の利用率はこれよりも高いだろう。







