PayPayを展開するソフトバンクグループ、楽天ペイの楽天グループは国内有数の企業グループであり、携帯電話事業というインフラサービスも行っているように、決して安心・信頼・馴染みがない企業ではない。一方でIT企業特有のクセの強いプロモーションと露骨な囲い込み、目まぐるしく変わるサービス内容に抵抗を感じる人もいるだろう。
とはいえ、先行するサービスに安心・信頼・馴染みだけで対抗できるほど甘い世界ではない。前述のようにJR東日本はJRE POINT経済圏の構築に着手しており、PayPayポイントや楽天ポイントに真正面から対抗するつもりはあるのか。
JR東日本に聞くと、「SuicaやPASMOがユニバーサルな決済手段となっていることと同様に、teppayもその安心感や信頼感をベースに多くのお客さまにご利用いただけるサービスを目指しております」として、あくまでも安心・信頼をベースにすると回答。先行サービスへの対抗策は明言を避けた。
PASMOとの共通化で
生じるSuicaの課題
実際、teppayのポイント戦略は未知数だ。今回の発表では決済時に「teppayポイント」が付与されると明かされたが、付与率など詳細は未定だ。JR東日本の発行するビューカードと紐づけるとチャージ不要のコード決済(※)や、カードからの入金が可能になるが、これらでJRE POINTが貯まるのかなども今後、改めて発表するという。
(※)teppayは店舗のQRコードを読み込むだけで決済できるMPM方式に対応しているため、決済端末を導入せずに事実上のクレジット払いが可能になるという店舗側のメリットがある。
新たにteppayポイントを作るのは、モバイルPASMOとの共通サービスという性質上、JRE POINTを直接付与できないからだ。共通のteppayポイントとして付与し、これをJRE POINTやPASMO各社のポイントに交換できる仕組みにした。
中川氏によれば、当初はモバイル Suica単独での提供を予定していたが、Suica・PASMOは利用路線によって選択する必要があり、家庭内でも使用カードが分かれているケースがある。Suica限定サービスではPASMOユーザーと残高の送受信ができず、利便性が低下するため、PASMOに参加を呼び掛けたという。
SuicaとPASMOが分立したのは事業者側の都合である。鉄道事業者のサービスは縦割りになりがちだが、事業者の垣根を越えてサービス共通化を実現したことは評価したい。一方で、Suicaの機能を拡大・統合する「Suica Renaissance」にとって足かせになる部分があるのは否めない。
前述の通りteppayは「Suica Renaissance」の軸となる取り組みだが、「Suica」と類似したサービス名称にした場合、店頭での決済手段申告時に店舗が「Suica」と誤認する可能性があることから、異なる名称としたという。
その他、PASMOが加わったことで「Suica」にはできなかった事情もあるのだろうが、Suicaと一体的・連続的なサービスと認識されなくては安心・信頼・馴染みも生まれない。モバイルSuicaの追加機能として実装されるため、全く関係ないサービスと捉えられることはないだろうが、今後のプロモーションが注目される。







