世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカルガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。

「治安」でも「観光」でもない…世界の富裕層が日本に来る本当の理由とは?Photo: Adobe Stock

調査からもわかる日本の食の人気

 これまでのエピソードを通してもおわかりいただけるように、世界の富裕層が日本に求めているもの。それはズバリ「」です。

 世界中でコロナが蔓延し、旅行に行きたくても行けなかった2020~2021年にかけて、アジアと欧米豪を対象に行われた調査では、次のことが発表されました。

・「コロナ禍が終わったら行きたい国」は日本がトップ
・その理由として最も多く挙げられたのは「美味しい料理」

 また、日本政府観光局が2023年1~3月に世界22市場を対象に実施した、訪日旅行に関する調査結果によると、旅行の目的の1位は「ガストロノミー・美食」であることがわかっています。

 もちろん、治安のよさや衛生面なども挙げられますが、1位は食なのです。

 さらに、日本を含む世界7か国の世帯年収が7万ドル以上の世帯を対象に実施された「アメリカン・エキスプレス・グローバル・トラベル・トレンドレポート(2023)」によると、次のようなことが明かされています。

・81%が「旅行中に最も楽しみなことは地元の食べ物や料理を味わうこと」と回答
・特定のレストランを訪れることを目的に旅行を計画する人が37%
・様々な食に挑戦することに興味がある人が72%

 これらの結果からも明らかなように、世界の旅行好きは「旅行に行きたい国のトップは日本」「なぜなら美味しいものを食べられるから」と高く評価しているのです。

 寿司や天ぷらといった王道の和食から、ミシュランの星を獲得するような洗練された料理まで、多彩な味わいに富む日本の食文化は、世界中の人々の注目の的だと言えるでしょう。

 日本にずっと暮らしていると、食べ物が美味しいのは当たり前に感じてしまうため、レベルの高さを意識することは少ないかもしれません。けれども、海外からわざわざ「食」を求めて多くの人がやってくるほど、日本は本当に“美味しい国”なのです。

※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。