コストや安全面で実用化ニーズが高い
「血液バイオマーカー検査」
現在、エーザイやイーライ・リリーなどは、軽度認知障害(MCI)よりもさらに前段階で、脳にAβの蓄積があっても症状のない「プレクリニカル期」に、抗Aβ抗体薬を使用してアルツハイマー病を「予防」することを目的とする臨床試験(治験)も進めています。
そのため、比較的コストも低く、簡便かつ安全にアルツハイマー
測定方法はシンプルです。
アルツハイマー病は、Aβの蓄積が引き金となって、タウというたんぱく質が脳内にたまり始め、神経細胞が損傷すると考えられています。そこで、採血を行って、血液中に漏れ出したたんぱく質(Aβやタウ)やその断片の量を測定。脳内に蓄積するAβの量を推定します。
富士レビオの検査薬は、血液から「リン酸化タウ(pTau)217」と「Aβ42」という2種類のたんぱく質を自社の装置で測定して、その比率を算出することでAβの蓄積を評価します。
東京大学医学部附属病院特任教授で日本認知症学会前理事長の岩坪威さんは「検査薬の研究・技術は日々進展している」と言い、「バイオマーカーとして特に優秀なのがpTau217で、脳内のAβとタウの蓄積を高い精度(正確度)で予測できることを示す研究が複数発表されている」と説明します。
では、血液バイオマーカーの精度が高まり、日本でも承認されれば、アルツハイマー病を確定診断(病名を最終的に決定すること)できるのでしょうか。
2025年7月にカナダで開かれた「アルツハイマー病協会国際会議(AAIC)」において、国際アルツハイマー病協会は、アルツハイマー病の診断における血液バイオマーカー検査に関するガイドラインを初めて提示しました。
同ガイドラインには、50歳以上で認知機能障害のある人に限定した「血液バイオマーカー検査」の使用について記載があります。







