逆境を乗り越え新世代スターが誕生
次に目指すは世界
女性やファミリーといった新たなファンを獲得するため、肝心要の“商品”である選手の質やラインアップにも磨きをかけている。
先頭に立ったのはエース・棚橋だ。鍛え抜かれた肉体と甘いマスクのイケメンキャラを自ら開発。試合の合間に地方のラジオ局を回ったり、ファンとの握手会や撮影会を開催したりするなど、全国で地道なプロモーションを展開、新たなレスラー像を構築した。
それは創始者・猪木がつくり上げた新日本の代名詞 “ストロングスタイル”からの脱却でもあった。
コスチュームしかり、試合内容しかり、全てが昔と似通っていては客離れが起きるのも当然のこと。くしくも低迷期におけるベテラン選手の退団で世代交代が進み、組織運営が安定したこともあってスター選手が育つ土壌が整った。
活躍の場は、リング外にも広がっている。真壁刀義は「スイーツ真壁」として朝の情報番組にレギュラーコーナーを持ち、主婦層にもよく知られる存在だ。それ以外の選手たちも、大半がツイッターやブログをコミュニケーションツールとして活用、小まめに更新してファンへの発信に努めている。
こうした選手主体の改革により、個性的で、人気と実力を兼ね備えたスター選手が、新日本には次々と誕生している。
選手と会社、そしてファンが一体となり、上昇気流に乗った新日本。恒例となっている夏の大会「G1クライマックス」決勝戦は今年、埼玉・西武ドームに会場をスケールアップし、1万8000人を集客して大成功を収めた。
今後は会場規模を広げて観客動員を増やし、関連ビジネスも拡大させることで売上高50億円を目指しているが、これはすでに射程圏内。真の目標は20年の売上高100億円だ。
そのための鍵となるのがデジタル化とグローバル展開だ。ここで手本としているのが、世界最大のプロレスカンパニー米WWEだ。売上高は600億円弱で上場もしている。「新日本は世界2位とはいえ、1位とは桁違いに水をあけられている。この差を縮めるには、WWEの良いところをまねし、新日本の優れているところを伸ばす」(木谷社長)








