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違法賭博の温床となっているスポーツ界では、アスリートが反社会的勢力の標的になるケースが後を絶たない。なかでも、組織に“取り込みやすいタイプ”の選手には、ある共通した条件があるという。いまや世界中の人が熱狂するスポーツベッティングの暗部に迫る。※本稿は、相原正道著『スポーツと賭博』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
世間知らずの野球選手を狙う
反社の手慣れたやり口
高校時代から注目されるような野球エリートは、寮で生活しアルバイトの経験もないままプロ野球に入ってくる。
体育会系の上下関係は経験しているかも知れないが、社会性を身につける機会は概して乏しい。多額の契約金をもらい、慣れない土地が職場になっていることは誰でも知っている。
そんな若者の心細さに付け込んでやれと、虎視眈々(こしたんたん)と狙っている者もいる。先輩・知人に誘われ、問題意識もなく親しくなった人物の中に、そんな輩が紛れ込んでいる可能性は捨てきれない。中には反社会的勢力とつながりのある人物もいるかも知れない。
反社会的勢力は恩義を感じさせたりして親しくなった後、相手を断りづらい状態に追い込むのが手口である。賭博などの違法行為に手を染めれば、反社会的勢力とつながるリスクが高くなってしまう。
中でも狙われやすいのは投手である。
投手は野球の花形だから?違う。最も八百長をやりやすいポジションだからだ。
犯罪者というものは、リスクを負わない効率的な方法を目論むものである。もし結果が確実に負けだとわかっていれば、引き分けや勝ちに賭けて金をドブに捨てる必要はない。最初から負けに賭ければよいのだから。そして、この方法を実行するのに最適なポジションが、野球でいえば投手である。







