競争を生き残る企業と滅びる企業の「決定的な差」、松下幸之助『道をひらく』が予言していたPhoto:JIJI

累計で約560万部を超える大ベストセラーとなっている、松下幸之助氏の著書『道をひらく』。1968年に初版が発行された書籍だが、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏は「現代のビジネスにも通じる」と力説する。では、具体的にどの部分が参考になるのか。ダイヤモンド・オンラインが配信している「学びの動画」の特集『入山章栄の世界標準の経営理論』(全30回)では、入山氏が視聴者に薦めたい「名著」を厳選。経営学と絡めながら解説している。今回は、その骨子を書き起こした記事を特別公開する(元の動画はこちら)。

“経営の神様”松下幸之助の金言を集めた
『道をひらく』とは?

『道をひらく』(PHP研究所)は、日本を代表する電機メーカー・パナソニックホールディングスの創業者であり、「経営の神様」の異名を持つ松下幸之助氏の著書だ。日本に家電を普及させ、企業に週休2日制を導入した人物でもあるため、ご存じの方も多いだろう。

 松下氏が一生で築いた資産は約5000億円ともいわれる。数々の偉業を成し遂げた松下氏は、経営およびビジネスで偉大な実績を挙げただけでなく、さまざまな名言も残している。その一部をまとめたのが、『道をひらく』だ。

競争を生き残る企業と滅びる企業の「決定的な差」、松下幸之助『道をひらく』が予言していた経営の神様・松下幸之助氏の著書「道をひらく」
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「知らなかった」という人もいるかもしれないが、松下幸之助氏は出版社「PHP研究所」の創設者でもある。同社は『PHP』という月刊誌を発行しており、松下幸之助氏はその裏表紙に「世間の動きやら、身辺の出来事などから感じたこと」を随筆として連載していた。そこから厳選した、珠玉の121篇をまとめたのが『道をひらく』である。

 伝説的経営者の随筆といえども、決して堅苦しいことが書いてあるわけではない。本書の中には、激動の人生を歩んできた松下氏だからこそ言える人生訓が、学生でも分かるような平易な言葉で書き記されている。しかも文章の量は、1つのテーマ当たり「見開き2ページほど」と適度である。

 とはいえ、「いくら有名な経営者が書いたといっても、古い本だから…」と敬遠している人もいるだろう。読んだことがある人の中にも「ピンとこなかった」「分かりにくかった」と感じた人がいるかもしれない。

 しかし、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏は「この本は現代のビジネスにも通じる」と太鼓判を押す。では、具体的にどの部分が参考になるのか――。