ダイハツ「ミラトコット」車両価格130万円以下で十分な長距離ドライブ耐性と粘りのあるハンドリングを実現したダイハツ「ミラトコット」 Photo by Koichirou Imoto

欧州で、日本の軽自動車を参考にする新規格「Eカー」構想が進んでいる。規格の詳細によっては、日本メーカーが得意の技術力を生かす大きなチャンスになる。ただし、課題も横たわる。まず、規格作りをリードできるか。そして、ライバルとなりそうな韓国メーカーの存在も見逃せない。【前後編の後編】(ジャーナリスト 井元康一郎)

>>前編『スズキでもダイハツでもない…日本の軽自動車の「レベルを爆上げ」したメーカーの実名【EU新規格でチャンス到来!?】』から読む

日本の「軽自動車が優秀」な裏付け

 筆者は大小100以上のクルマの長距離ロードテストを行っているが、そのうち14車種は、三菱自動車「eKクロスEV」を含む軽自動車だ。その実感から確信をもって言おう、日本の軽自動車は本当に優秀だ。

 初めて東京~鹿児島を軽自動車で走ってみたのは2013年夏、クルマはホンダの第1世代「N-ONE」のターボだった。関門トンネルを除き、有料道路を通行せずに軽自動車で鹿児島まで走ったらどう感じるか――と遊びゴコロでやってみたら、時間はかかったものの大して疲れもせず、クルマの能力にストレスを覚えることもなく、軽く走りきれてしまった。

 次は18年、ダイハツ工業のベーシックモデル「ミラトコット」。言ってしまえば第1世代N-ONEの前期モデルは、軽としては異例なくらいシートにコストがかけられていた。だから、軽ベーシックなら「忍耐ドライブ」を体験できると思ったのだ。

 が、車内騒音は大きいものの荒れた道でも車体のフラット感が高く、200km近く断続的にワインディングロードが続く九州山地縦断ルートを含め、危険なくドライブできた。しかもN-ONE、ミラトコットとも長距離移動時の平均燃費がリッター20km台中盤と、すこぶる経済性が良かった。

 以降、各社の軽で3000km超のドライブを行ったが、明らかな短距離専科は2モデルだけ。大半は、その気になれば冒険旅行に使える能力を有していた。