スズキは2020年に小型トールワゴン「ソリオ」の現行モデルを発売した際、旧型にあったストロングハイブリッドを引っ込めて小型モーターのマイルドハイブリッドと純エンジン車のみとしていたが、22年末にストロングハイブリッドを再登場させた。今回、ソリオのストロングハイブリッドモデルを3400kmあまりロードテストしたので、徹底的にレビューしていく。【前後編の前編】(ジャーナリスト 井元康一郎)
スズキの「ソリオ」は
競合ダイハツ「トール」と何が違うのか?
今回のテスト車は、スズキ「ソリオ」のドレスアップ系グレード「バンディット ハイブリッドSV」だ。筆者は以前、ソリオのマイルドハイブリッドについても1200kmほどテストを行ったことがあるので、その差分にも触れながら、詳細までレビューしていこう。
第1世代「ワゴンRソリオ」が登場したのは1999年で、2列シート、乗車定員5名、低価格・ユーティリティ志向の小型トールワゴンだ。2020年に登場した現行モデルは第4世代に相当する。日本の大衆車ユーザーへの適合性が高く、日本市場においてスズキの登録車の中では最多販売モデルとなっている。
寸法は全長3790×全幅1645×全高1745mm。ホイールベースは2480mm。グローバルではAセグメントミニカークラスに相当する。同クラスにおける唯一の競合モデルであるダイハツ「トール」/トヨタ「ルーミー」に比べると9cm長く、2.5cm幅が狭い。極めて軽量に作られているのが特徴で、最も重いストロングハイブリッドでも車両重量は1050kgにとどまる。
パワートレインはストロングハイブリッド、マイルドハイブリッド、純エンジンと多彩。エンジンは全タイプとも1.2リットル直4自然吸気。今回のロードテスト車であるストロングハイブリッドは1走行用電気モーター兼発電機1基を変速機に組み込んだパラレルハイブリッド方式である。
車内は2500mmという図抜けた室内長が特徴。軽スーパーハイトワゴンはもとよりトール/ルーミー、さらには格上のホンダ「フリード」、トヨタ「シエンタ」の定員5名モデルをも上回る。一方で室内幅は車幅が狭いぶんトール/ルーミーを下回る。アクティブステアリング制御、先行車追従クルーズコントロールありのADAS(先進運転支援システム)を標準装備する。