創業者の身内として
自分が責任を取る
「最初にその話を聞いたとき、あらためてジュリーさんは何を思いましたか」
「個人的には相続を受けたところで、ジャニーの取り巻きや番頭さんたちとうまくやっていけるイメージは持てなかったので。難しいと思うと答えました」
「その気持ちがどう変化したのでしょう?」
「私が一貫して思っていたのは、ジャニーとメリーの2人は趣味が仕事であるというか、お金儲けにまったく固執しないということでした。それ自体は悪いことではないのですが、しかしその裏返しとして、社会的な責任であるとか、社員に対する義務のようなものをいっさい考えずに行動する人たちでもあったんです。もし私が継がずにギブアップしてしまえば、その責任を誰が負うことになるんだろうと考えたんですよね。格好良く言うつもりはないですし、たった数年後にその責任は思ってもみない形で覆いかぶさってくることになるんですけど、そのときは創業者の身内として、社会や社員に対して責任を取らないといけないと考えました」
ジャニー氏の死を
受け入れられなかったメリー氏
こうして会社を継ぐ覚悟を決めたジュリー氏。そして、ついに、ジャニー氏が世を去る時が来る。
* * *
「正式に社長を交代する手続きってどういうものなんです?2019年7月9日にジャニーさんが亡くなられているのですが、直後からもうジュリーさんが社長に?」
「いえ、すぐにはなってないんです。メリーの心の整理がなかなかつかなくて」
「メリーさんはどういう様子だったんですか?」
「自分の分身を取られちゃったみたいな感じで、まったく冷静ではなかったです」
「大声を上げたりとか?」
「いえ、表面的には普通なんです。でも、とにかく言ってることが支離滅裂で。覚えているのは火葬場に行くときのことで、何かいろいろ難癖をつけては『私は火葬場に行きません』と大騒ぎするんです。『ジュリーがお坊さまに失礼なことをしたから、私は絶対に車には乗りません』みたいな。その間もみなさまを待たせているわけで、いやいや、ちょっと勘弁してよ……と思っていました」







