代わりに、感謝の気持ちを伝えるために、同僚に1000万ルピアを渡した。別の同僚にも同じようにした。さらに、それほど近しくはないが、最近ガンと診断されていた同僚に500万ルピアを渡した。
世界自然保護基金(WWF)や、洪水被災者とペットレスキュー団体にも数百万ルピアを渡した。また、家族の健康診断費用を支払った。
リディアは言う。
「選ばれたと知ったときは、声の限り叫びました。利他はすばらしい。受け手は自分の存在を気にかけてもらえたと感じます。自尊心を贈るのと同じなんです。与え手と受け手の間に架け橋ができる。だから、私自身が感じたのと同じように、他の人にも自分を気にかけてもらえたと感じてほしかったんです」
瞬時に生まれる「同じように返したい」という願いを、カナダのクレア・マクスウェルは見事に言い表している。
「寄付してくれた人のことや、その人たちに誇りを感じてほしいという自分の気持ちのことを、何度も考えました。寄付者は途方もなく大きな経済的リスクをおかしたのだから、私も『恩送り』するために、できる限りのことをしたかった。
同じ額のお金がもし宝くじで当たっていたら、違う使い方をしたと思います。今回受け取ったお金のことを、自分のために使うお金だと感じたことは一度もありません――自分以外の人のことを考えたカップルから渡されたお金だったから。そういう人たちからの贈り物を他の人たちとシェアできるのは幸いでした」
善意が善意を呼ぶ
利他の連鎖が起きた
英国のテクノロジー企業のエグゼクティブ、セーラ・ドリンクウォーターは、1万ドル全額を提供することにした。その直後、決心が試されることになった――予期していなかった、それより高額の税金納付書が翌日に届いたのだ。
だが、彼女は計画を変えることなく、500ドルずつのミニ基金を20作り、たとえば年金生活者向けのピクニックやアーティストによる壁画、自閉症児の発達を促すセンサリートイ(編集部注/五感を刺激し、脳の発達を促す知育玩具)などに資金提供することにした。







