自分のリズムを守るために
平地でも体を休ませない
今井の言葉は、坂を上るための多くのヒントを含んでいるように思えるが、さらに勝つためには「休まないこと」だという。
「宮ノ下の富士屋ホテルがある付近は、ちょっと平地になるところがあるんです。あそこで1回休んでという感じで行く人が多いと聞きましたが、僕は休まなかった。ピッチを上げることも落とすこともなかった。そこで一度休んでしまうと、また上るぞとなったときにきつくなるんです。そこで休まず、上りのピッチをつくっていくほうがうまく上っていけるんですよ」
坂はきついので、どうしてもどこかで一息ついて次の坂を、と考えがちだが、一度休むとリズムをつくるのは難しくなる。ここまで来たら次、次と目標物をクリアしていく感覚で上りをつないでいくほうが、気持ち的にも肉体的にもダメージを最小限にして上っていけるということだ。
神野も止まらないことが大事だという。
「5区は、一度、ペースが落ちたらメンタルがやられるので、途中からのペースアップはほぼ無理です。よく運営管理車から『ここ、上げていくぞ』とか選手に声をかけていますけど、選手からすれば、ここから上げるのは無理だと思っています。5区は自分のペースが落ちてしまうと、あとは落ちていくだけ。だから、いかに落ちないように自分のペースを大事にして、流れのまま上りきるのかが重要です」
そのためには「ギリギリを攻めること」が重要だと神野は言う。
「自分の限界を超えないギリギリを攻めること。坂を上っていくなかで、このペースで行くと限界を超えてしまうと思ったら、いきすぎないようにあんばいを調整しながら走ることが大事です。そのために坂で練習をして、自分の限界を把握しておかないといけない。
僕は、自分のリミッターを超えずに限界の瀬戸際をずっと攻め続けることができる力が高いと自負しています。今井さん、柏原さんもそうだと思います」
小涌園から最高到達地点の
4.5キロメートルがもっとも重要
山を上る戦術は個々の選手で異なるが、勝負のポイントになるところは、指導者も選手もほぼ一致し、共有している。







