この当時から海外では一部の学校ではレギンスの着用の禁止・制限がされてもいた。欧米豪などの海外各国ではそうした禁止事項が制定されるくらいに一般化したファッションだった、と見ていいであろう。

 アスレジャーの適切性については「TPOの問題」とする切り口もある。フォーマルな場ほどアスレジャーはそぐわないとされる可能性が高い半面、本当に家とジムを往復するだけなら取り立てて問題ないのではないか……という具合である。

「露出方向」のファッションには
従来の価値観との闘いがつきもの?

 ぴっちりアスレジャーを着る女性の言い分は様々だが、世間の逆風の中でも揺らがず立ち続ける構えの人は、「何が悪いのか。性的に反応し過ぎです」といった意見を発信するケースもあり、世間のアスレジャー文化への理解が深まると同時に、アスレジャーに疑問を持つ人たちとの断絶も深まっている。

 肉体美をダイレクトにファッションの一部として示せる機会として、プロポーションに自信のある人はアスレジャーはいいものに違いない。仮に胸元の大きくあいた服が妖艶な色気を目指しているとするなら、アスレジャーが目指すのは健康美か、「健康美」成分を多く含む色気となるのだろうか。

 女性のぴったりアスレジャーの良さが個人的にはまだよくわかっていないのが正直なところだが、これまでになかった分野の魅力が開拓されていっているであろうジャンルではある。

 人類のファッション史をひも解いてみると、人が肌を露出する方向のファッション革命がいくたびも起きていて、よもや将来の人類ファッションの最終到達点は全裸なのではないかという気すらしてくるが、冗談はさておき、露出方向のファッション革命はいつの時代でも従来の価値観との激しい摩擦があった。

 ざっと調べてみた所、次のようなケースがある。

【ビキニ(水着)】1946年にパリのファッションショーで初お披露目。

 モデルたちが着用を嫌がったため、ヌードダンサーがモデルになって着た。それまでの水着に比べて肌の露出が極端に多く、バチカンはこれを正式に「罪深いもの」と布告し、イタリア、スペイン、ベルギーなどのヨーロッパ諸国やアメリカのいくつかの州では着用が禁止された。

 その後1950年代に地中海あたりからじわじわ流行り始め、1960年代にはいわゆる性革命と連動してアメリカのビーチで大流行した。