人と人との出会いから
全てが始まる

――最後に、チームビルディングという観点でお伺いします。ご自身の個性を発揮しつつ、チーム全体で最高のパフォーマンスを出すために、どのようなことを心がけていらっしゃいますか。

幸四郎 やはり「出会い」が全てではないでしょうか。チームビルディングも、最初は人と人との出会いから始まるものです。私が「鬼平犯科帳」という作品に出会い、素晴らしい監督やスタッフ、共演者の皆さんに出会えたからこそ、今の「鬼平」があると思います。

 特に俳優という仕事は、個人の能力を磨くだけでは成立しません。プロフェッショナルなスタッフがいて、相手役がいて、初めて一つの作品が完成します。自分の役を突き詰めることはもちろん大切ですが、それと同じくらい、周囲の人々を信頼し、敬意を払うことが重要だと思います。

松本幸四郎Photo by Shogo Murakami 衣装協力=イザイア/ISAIA Napoli 東京ミッドタウン メイク協力=ラ・メール スタイリスト=川田真梨子 ヘアメイク=林摩規子

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「部下に慕われたい」という願いは、リーダーであれば誰もが持つ自然な感情だ。しかし、松本幸四郎の言葉は、その願いそのものがリーダーシップの本質を見えなくさせる危険性を教えてくれる。

 重要なのは、部下の顔色をうかがうことではなく、リーダー自身が確固たる哲学と生き様を示すこと。小手先のテクニックではなく、その人間性にこそ人は惹きつけられ、信頼を寄せる。そのストレートな回答は、全てのリーダーの胸に深く突き刺さるはずだ。

 

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