許可が下りると、応募者の書類をいくつか審査し、その後、良いと思った応募者と仕事の内容についてのやりとりを交わし、相手(外国人労働者)が同意すれば契約成立となる。

 その後雇用者はE-9ビザ(編集部注/専門分野がなくても韓国で働ける、非専門就業ビザ)を政府に申請し、支給されれば、晴れて外国人労働者が入国する手順を踏む。

農業、畜産、漁業などは
外国人がいないと崩壊する

 入国した外国人にはひと月ほどの研修期間が設けられている。その間に韓国の文化などについて学び、銀行口座を作り、携帯電話を購入して通信会社と契約する。

 アニルはモバイルバンキングを通して送金しているといい、父親はその資金で農地を購入したそうだ。李の妻が「ネパールに帰ったら名義は自分のものにしないとだめよ」と何度も念を押していた。

 EPSで働きに来た外国人労働者が韓国で働ける期間は3年間。双方が合意すれば再雇用が可能となり、1年10カ月間延長できる。ただ、延長するにはいったん母国に帰国してから再入国するという決まりだ。

 アニルは2025年11月で契約が終了するが、李は延長するつもりだと言い、アニルにも「延長するよね」と確認するような口ぶりだった。何度も提案していたのだろう。

「農業や畜産、漁業もそうですが、外国人労働者がいなければ成り立ちません。韓国人を雇うなんて無理ですよ。就職難だといいますけど、この分野にはなり手はいません。ただ、外国人労働者とは相性もありますし、アニルのようないい人材にはなかなか出会えない。延長してもらわないとこちらも困ります。家族も連れてきて韓国で養豚業をずっとやってほしいくらいです」

外国人労働者を確保できずに
不法滞在者を雇う農家も

 韓国では外国人労働者を受け入れるために、様々な制度を用意している。そのひとつが、「外国人季節勤労者制度」だ。

 2015年、農・漁業の現場で繁忙期に必要な人員を短期間受け入れる事業が試験的に始まり、17年に導入が本格化された。当初は90日間だった在留期間は段階を経て、現在は最大8カ月間まで延長されている。また、結婚移民者の家族は、現在4親等まで10人を季節労働者として招待できる。韓国の地方自治体と労働輸出国の自治体がMOU(基本合意書)を結び、雇用は農家などが請け負う。