一方、「公共型外国人季節勤労者制度」は、各農協が雇用し、農家に派遣する。宿所は自治体が用意し、形態はワンルームや寄宿舎型の低層アパートなど様々だ。どちらも月給制になっている。

 各自治体はそれぞれ他国の地方自治体とMOUを締結しており、1000人単位で受け入れるところや(416軒の農家に1059人を受け入れる計画を立てた慶尚北道英陽郡など)、外国人の季節労働者を管理するシステムを導入した自治体もあり、労働市場における存在感が増しつつある。

 ただ、自治体か農協への負担が大きくなったことで、業務が増え、対応ができず、逆に人材確保が難しくなっている地域もある。

 2025年春、珍島で収穫後に整理されるはずのネギが無残にもそのまま転がっている様子が撮影された。季節労働者の雇用人数が不足したため、処理しきれずあふれてしまったものだ。農家が希望する人員を農協が確保できなかったことが原因で、農家はやむなく不法滞在者の外国人労働者を雇っていたが、取り締まりに遭い、作業が間に合わなくなった。農協側は、「離脱者の管理などのリスクもあり、採用人数を減らすほかなかった」と話していた(「農民新聞」2025年4月10日)。

 逃亡する季節労働者は増えているといわれ、入国後、いったんは働き場所まで来ても、その後、しばらくして消えてしまうという。ほとんどの場合は、ブローカーが介在しており、手取りが100万ウォン(約10万円)ほど高くなる製造業の工場などに移るそうだ。

正規雇用が難しい飲食業は
EPSに頼りづらい

 製造業は、韓国にやって来る外国人労働者の垂涎(すいぜん)の的となっている。EPSを通してやって来た外国人労働者がもっとも多く働くのも製造業界だ。韓国では、特に金型や溶接などの現場では従事者の10%近くを外国人労働者が占めており、外国人がいなければ会社自体を畳まなければならないような事態になっている(「朝鮮日報」2024年6月26日)。

 2025年のEPSの採用枠は、前年から縮小した13万人(21%減)となった。しかし、上半期ですでに前年よりも31%減少し、目標の半分ほどになるのではないかといわれる。これは景気の低迷に加え、特定の活動ができるビザや収穫期などの繁忙期に募集される季節勤労ビザなど、就業スタイル別にビザの種類が増えたためだ。また、手続きが煩雑だという声も出ている(「ソウル新聞」2025年6月19日)。