22年より、食堂や宿泊、宅配などのサービス業界の人材不足を解消するためにE-9ビザ対象の業種が拡大された。ところが、採用枠1万3000人に対し、採用者は600人台しかいなかった。雇用手続きが煩雑な上に、フルタイムで正規職として雇用することが原則だが、サービス業の場合は短期のアルバイトとして雇用できる外国人留学生などが好まれる傾向にあるという(「韓国経済新聞」2025年5月15日)。韓国では外国人留学生は条件によって異なるが、週に20時間以内であれば就業は可能だ(日本では週28時間内)。

 また、韓国の飲食業は回転が速いことも、EPSの採用に消極的な理由だった。不動産価格の高騰を背景に、人気店であっても家賃の安い他の街へ移転する場合が多い。店をオープンしても“寿命”は平均3.6年といわれる。繁盛していると思った店でもしばらくして行ってみると閉店していた、というのはソウルではよくある話だ。そのような業界で、正規雇用はかなりの負担になる。

不法滞在外国人は
日本の5倍の40万人

 韓国では、外国人の不法滞在者が非常に多いという現実がある。

 法務省によると、把握されている外国人不法滞在者は2024年で約40万人。これは国内に滞在する外国人265万人の15%ほどに相当する。なかでも3割ほどを占めるのはタイ人で、群を抜いて多い。その後はベトナム、中国と続く。

 入国した経緯は、ノービザ特権で韓国に入国した場合が40%を占めており、続いて観光ビザ(20.5%)、EPS(13.3%)の順となっている。

 現在、一定期間であればノービザで入国できる対象国は113カ国。アジアでは、日本や台湾、香港、シンガポール、そしてタイなど9カ国だ。

 李専任研究委員が語る。

「(不法滞在者は)平昌オリンピック時の一時ビザ緩和から増えて、EPS関連では、就労期間が終了しても帰国しなかったり、途中で職場から離脱したり、就業を継続してしまうケースがあります」

 日本では2024年の外国人不法滞在者は約8万人といわれるため、韓国はその5倍の数に相当する。なぜ、こんなにも増えたのだろうか。