TikTokあるいはYouTubeのような動画SNSにおいて、基本的にユーザーの多くは発信者ではない。ほとんどが受信者だ。

 ここがXやInstagramのような、発信と受信のどちらも行なう双方向のSNSと、最も異なる点である。TikTokあるいはYouTubeを利用している人のほとんどが、SNSをただ見ているだけなのだ。

SNSは承認欲求を満たす
場ではなくなった?

 ここである著作を引用してみたい。

 本国スウェーデンで2019年に刊行された『スマホ脳』(新潮新書、2020年)だ。スマホの中毒性について解説した本書で、著者のアンデシュ・ハンセンは次のように語る。

 フェイスブック、Instagramやスナップチャットがスマホを手に取らせ、何か大事な更新がないか、「いいね」がついていないか確かめたいという欲求を起こさせる。その上、報酬システムがいちばん強く煽られている最中に、デジタルな承認欲求を満たしてくれるのだ。(アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』)

 SNSの報酬――言ってしまえばSNSの面白さとは、「いいね」という承認をもらうことの中毒性である、と本書では語られる。デジタルな承認欲求こそが報酬システムの根幹である、と。

 しかしTikTokあるいはYouTubeの普及によって、事態は変わりつつある。

 TikTokやYouTubeは、先述したようにユーザーのほとんどは発信しない。

 つまり承認をもらう機会はない。『スマホ脳』的に言えば、デジタルな承認欲求を満たす場はない。しかしそれでも、10代の7割は、TikTokのアプリを開いているのだ。

 SNSの歴史を見てみると、テキストのX、写真のInstagram、動画のYouTube、そしてショート動画のTikTokというように、流行は推移している。

 以前はXやInstagramでフォローしたユーザーの投稿しか見られなかったのに対して、現在は、フォローしていなくてもアルゴリズムが選択した投稿を見せることが主流となった(平成世代の私なんかは、頼んでもいないのにコンテンツを薦めてくる「おすすめ欄」にイラついてしまうのだが……)。

 なかでもTikTokは、拡散され始めると、とても大きな広がりが生まれる。