『TikTokショート動画革命』(日経エンタテインメント!編、日経BP、2021年)においては、(1)独自のレコメンドシステム、(2)短尺動画の優位性、(3)拡散するための豊富な施策、の3点がTikTokの独自の拡散性につながっていると解説されている。
つまり「短尺の動画が大量に勝手にレコメンドされること」が、TikTokというSNSの特徴である。
これは従来の、承認欲求を満たすことが報酬となっていたSNSとは別の存在であることがよくわかるだろう。
短尺の動画を見るたびに
ドーパミンが放出される
XやInstagramの魅力が相互評価のコミュニケーションだったとすれば、TikTokは大量の短尺動画がレコメンドされることに魅力がある。
大量の短尺動画を見ること、それ自体が報酬になる。
記憶するためには、集中しなければいけない。そして次の段階で、情報を作業記憶に入れる。そこで初めて、脳は固定化によって長期記憶を作ることができる。
ただし、Instagramやチャット、ツイート、メール、ニュース速報、フェイスブックを次々にチェックして、間断なく脳に印象を与え続けると、情報が記憶に変わるこのプロセスを妨げることになる。(アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』)
『スマホ脳』で言われていることが正しければ、TikTokで見ている「間断なく脳に印象を与え続ける」大量の短尺動画は極めて記憶に残りづらい。
実際、大学生から「先生、私TikTokの動画を見ても全然記憶に残らない」と言われたこともある。自分が知りたいと思って検索した情報ではない、与えられ続けられる動画は、記憶に残らずに終わってしまう。
ならば、なぜTikTokを見る人は増え続けているのか?
新しい情報を得るとドーパミンという報酬が放出されるからだ、とハンセンは『スマホ脳』で解説する。短尺で大量の動画を見るのは、そのたびに大量の報酬を得られるということである。
『スマホ脳』曰く、見返りを欲する報酬探索行動と、情報を欲する情報探索行動は脳内で密接しているという。つまり、情報として記憶には残らないが、脳にとって報酬ではあり続ける。







