若いうちに自分の花嫁姿の写真を収める「ソロウェディング」なるサービスまで登場している。文字通り1人で行う結婚式のことであり、女性たちは思い思いのウェディングドレスや白無垢などの花嫁衣裳を着て、そのハレの日を共同体的な営みとは無関係なところで堪能するのである。

 この動きは「おひとり様経済」の拡大といった消費トレンドの文脈で語られることが多く、背景として、高齢化や未婚率の上昇に伴い単身者が右肩上がりで増加していることがよく挙げられている。

 また、働き方を含めたライフスタイルの多様化がそれを後押ししており、消費者からは大いに歓迎されている。だが、その深層には、他者との豊かなつながりを意味する社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)の衰退がある。

ソロ活ブームが覆い隠す
「消極的な孤独」とは

 一口に「おひとり様」「ソロ」といっても、その中身は人によってかなり幅がある。

 そもそも「孤独」は、「積極的な孤独」と「消極的な孤独」に大別される。かつて神学者のパウル・ティリッヒは、「ひとりきりでいるという恵み」を「孤独(ソリチュード)」と呼び、「ひとりきりでいる苦痛」を「孤立(ロンリネス)」と呼んだが、前者が「積極的な孤独」、後者が「消極的な孤独」に当たる。

 前者は、人間関係に恵まれている人が、あえて「ひとりの時間」を過ごす充実した状態を表し、後者は、人間関係に恵まれていない人が、仕方なく「ひとりの時間」を過ごす空虚な状態を表す。

 サービスを提供する企業の側からすれば、どちらも同じ「おひとり様」「ソロ」であり、わたしたちもおそらく外見上の違いからは何も見出せないだろう。居酒屋でいつもの家族や仕事仲間などから離れて「久々のひとり飲みを愉しむ人」と、家族も友人もおらずXのフォロワーとインターネット上でやり取りをしながら「ひとり飲みに甘んじている人」を識別することは困難である。

 これは、究極的には「コミュニケーション強者」と「コミュニケーション弱者」の問題なのである。後者の人々は、常に「消極的な孤独」を引き受けざるを得ないために、そのような現実をなるべく直視せずに済む生活習慣を身に付けようとすることになる。