時代精神を反映している
小学生のなりたい職業ランキング

 副業として超ノマド的なビジネスに乗り出す者が増加していることは、ヴァーチャルノマドの苦境と欲望を非常に分かりやすく示しているといえる。

 ソフトウェア開発やコンサルティング、資産運用、プロダクトデザイン、コンテンツビジネス、オンライン・カウンセリング……「デジタル小商い」と呼ばれることも多いこれらのビジネスは、超ノマドへの足掛かりとなるスモールスタートが射程に入っている。

 とりわけ、SNSを通じた影響力を収益化するインフルエンサーを目指す人々は後を絶たない。小学生のなりたい職業1位が5年連続で「YouTuber」となり、クリエイティブ職に人気が集中していることが現代の時代精神を見事に表している(注3)。

 このような超ノマド的な存在への足掛かりとなるビジネスの興隆は、単なる上昇志向にとどまるものではなく、先の経済状況や技術革新によるダメージを複数の職業にまたがることによって回避する「自律的複業(パラレルワーク)」への転換も絡んでおり、成功へのショートカットと分散投資的なリスクヘッジの2つを同時に試みる生存戦略なのである。

 アタリは、「中産階級にとっては、リスクに備えることと気晴らしが一般的な対応となる。つまり、彼らにとってリスクに備えることは強迫観念であり、気晴らしは彼らの忘却手段である」(前掲書)と率直に述べている。

 リスクに備えることが横文字で埋め尽くされたサイドビジネスであるとすれば、気晴らしは脅威や悪夢を一時的に中断させる「ヴァーチャルな世界」だというわけだ。

「ヴァーチャルな世界」とはいえ、他者と関わらない幻想的なものから積極的に現実に関与するものまで裾野は広い。いうまでもなく、稀代の暴露系YouTuberのガーシーは、実害を伴う「文春砲」的なエンターテインメントである。

(注3)“〈第5回「進研ゼミ小学講座」小学生総決算ランキング2024〉「お札の顔になってほしい人」で2位の大谷翔平選手を超えた1位は…?”株式会社ベネッセコーポレーション(2024年12月3日)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001313.000000120.html