口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)とは、食べ物を摂取したすぐ後に、唇や口の中、喉や耳の奥などの局所に痒みなどのアレルギー症状が出現するタイプの食物アレルギーです。

 多くは花粉症のある方でこのような症状が起こることから、「花粉―食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)」ともいわれますので、以降、PFASと表現しましょう。

豆乳を飲んだだけで
アナフィラキシーが起きることも

 PFASは現代の成人において最も頻度の高い食物アレルギーであることが知られ、ある統計によると中学生の約1割、成人の約3割に存在するともいわれています。

 PFASの原因食物として多いのは、モモ、リンゴ、サクランボ、メロン、スイカ、キウイなどといった、皆さんが普段よく口にする一般的な果物です。

 新鮮な果物に口腔アレルギー症状の原因となるアレルゲンが存在することを初めて示唆したのは、1942年のTuftとBlumsteinによる報告とされています(注1)。

 彼らは、モモやスイカなどの果物アレルギーの合併を疑う花粉症患者に対して皮膚アレルギーテスト(プリックテスト)を行い、新鮮な果物では陽性反応を示すものの加熱した果物では反応しないという現象を報告しました。

 その後、花粉症の方に多く発症する理由として、花粉症の原因である花粉アレルゲンに含まれるタンパク質の一部が、同じく植物である果物や野菜にも含まれるためであることがわかりました(この仕組みを交差反応といいます)。

 鼻の中に入ればムズムズするものなので、口の中でもむず痒くなるというわけです。

 ではなぜ、アレルギーを引き起こす食品を食べても口腔内など局所的な症状だけでおさまるのでしょうか。

 理由は、これらのタンパク質は消化酵素や加熱加工で容易に壊されてしまうため、胃や腸で分解されて吸収される頃にはアレルゲンとして認識されなくなるからです。

 PFASの方でも、通常はジャムや缶詰などの加工食品を症状なく食べられるのはこのためです。

(注1)Tuft, L. & Blumstein, G. I. (1942)‘Studies in food allergy: II. Sensitization to fresh fruits: Clinical and experimental observations’, Journal of Allergy, 13(6), pp. 574-582. doi:https://doi.org/10.1016/S0021-8707(42)90070-4