流血しながら懸命に働くも
若者からは“冷たい視線”
甚野:そうなんですよね。それでどうしようと思って、もう1回選手村でのアルバイトを色々探しました。2件目に応募したのは飲食関係で、そこは受かりました。
表に出る仕事とバックヤードの仕事で大きく2種類あるんですが、僕の配属先はみんなが着終わった服をまとめてクリーニングに出す係みたいな、ものすごいバックヤードだったんです。「なんで俺、バックヤードなんだろうな」っていうのを考えたこともあります。
横田:こんなにやる気があるのに。
甚野:横田さんは『潜入取材、全手法』(2024年、角川新書)の中で、潜入取材だとしても「仕事は一生懸命やる」って書いていたじゃないですか。僕もまさに一生懸命やったんですよ。
だけど、やっぱり中年のおじさんだから重たいカートに足をはさんで流血したりして。周りの大学生とかは「何、あのおじさん」って感じで見てくるんですよ。だけど、こっちは血を流しながらも文句ひとつ言わず一生懸命働いて(笑)。
横田:こんな健気な労働者。
甚野:遅刻したことももちろんないし、休んだことないし、仕事も自分なりに一生懸命やったと。しかも率先して「それ僕がやります!」とか言って。
それなのに、記事を書いたあとに来た「貴殿による問題行為について」と題された懲戒処分を通告する文書には、まるで僕が仕事をしていなかったぐらいのことを書かれていたんです。働きぶりを見てもいないやつが。
カチンときたのですが、やっぱり潜入取材ってただでさえ怪しまれるんですよね。だから、「一生懸命仕事をやる」っていうのは、僕も本当にそうだなと思いました。
甚野博則(じんの・ひろのり)
1973年生まれ。大学卒業後、大手電機メーカーや出版社などを経て2006年から『週刊文春』記者に。2017年の「『甘利明大臣事務所に賄賂1200万円を渡した』実名告発」などの記事で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」のスクープ賞を2度受賞。現在はフリーランスのノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌などで社会ニュースやルポルタージュなどの記事を執筆。近著に『実録ルポ 介護の裏』(文藝春秋)、『ルポ 超高級老人ホーム』(ダイヤモンド社)、『衝撃ルポ 介護大崩壊』(宝島社)がある。
1973年生まれ。大学卒業後、大手電機メーカーや出版社などを経て2006年から『週刊文春』記者に。2017年の「『甘利明大臣事務所に賄賂1200万円を渡した』実名告発」などの記事で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」のスクープ賞を2度受賞。現在はフリーランスのノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌などで社会ニュースやルポルタージュなどの記事を執筆。近著に『実録ルポ 介護の裏』(文藝春秋)、『ルポ 超高級老人ホーム』(ダイヤモンド社)、『衝撃ルポ 介護大崩壊』(宝島社)がある。
横田増生(よこた・ますお)
1965年福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。99年よりフリーランスとして活躍。主な著書に、『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』、『評伝 ナンシー関「心に一人のナンシーを」』、『仁義なき宅配 ヤマトvs佐川vs日本郵政vsアマゾン』、『ユニクロ潜入一年』『潜入取材、全手法』など。『潜入ルポamazon帝国』(小学館)では、新潮ドキュメント賞、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞の作品賞を受賞。最新刊『「トランプ信者」潜入一年』(小学館)では、「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」を受賞。
1965年福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。99年よりフリーランスとして活躍。主な著書に、『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』、『評伝 ナンシー関「心に一人のナンシーを」』、『仁義なき宅配 ヤマトvs佐川vs日本郵政vsアマゾン』、『ユニクロ潜入一年』『潜入取材、全手法』など。『潜入ルポamazon帝国』(小学館)では、新潮ドキュメント賞、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞の作品賞を受賞。最新刊『「トランプ信者」潜入一年』(小学館)では、「山本美香記念国際ジャーナリスト賞」を受賞。









