政治家が擁護写真をSNSに投稿
瞬く間に拡散されたネガティブ反応

 もっとも大きな理由は、政治家が擁護するような態度で写真をSNSに投稿し、火に油を注いでしまったことだ。政治家の影響力と責任は言わずもがなであるし、さらに写真のインパクトが強烈だった。

 もともとのミス・フィンランドの「つり目ポーズ写真」もそうなのだが、政治家たちの写真もカメラに向かって行われており、控えめに言って悪意に近いものを感じる。強い不快感を持った人は少なくないだろう。

 このような写真とそれに対するネガティブな反応はSNSで瞬く間に拡散されていく。

 また、フィンランドなどの北欧諸国は人権や教育に優れているというイメージが強い。だからこその失望もあるだろうし、「普段、アジアを人権後進国のように見下しているくせに自分たちはどうなんだ」という不満も生まれやすい。

 首相や大使館が謝罪・説明を行なっていることからも政治・外交に影響が出ていることがわかるが、アジアからも観光客が多いフィンランドでは航空会社もこれを懸念しているようだ。

 フィンエアーは、観光ボイコットを気にしてか、日本支社の公式アカウントで「一部のフィンランド議員が言及した発言や投稿は、フィンエアーの価値観を示すものではありません」と投稿している。

 日本に暮らしていると日本人がマジョリティの社会であるため、こういったジェスチャーがアジア人差別であるということがピンと来ない人も多い。このため、「冗談でもダメなのか?」「気にしすぎでは?」「何でもかんでも差別と言ったら息苦しい」といった声も聞こえてきやすい。

 しかし今回の騒動とその余波を見てもわかるように、「つり目ポーズ」は問答無用でアウトであり、これを擁護するのは火に油を注ぐ行為であることがわかる。

 同じポーズを行ってしまった議員たちは、「行動に対して制裁が大きすぎる」と、彼らにとっては正当性のある抗議を行ったが通用しなかった。これはなぜなのか。間違いがちな差別についての認識について改めて考えてみたい。