「窪」「久保」とつく名字の由来は?

 名字は一生のうちに頻繁に使うだけではなく、子々孫々まで伝えていく。こうした言葉には子孫繁栄の願いを込めて、あえていい意味の言葉や漢字を使用した。

 たとえば、現在では周囲より低くなっている窪地はあまりいい場所とは思われないが、稲作が基本の時代にはこうした場所はイネの栽培に向いている大切な場所だった。そこで、こうした土地に住んで田んぼを所有している人は、「窪」や「窪田」という名字を名乗っていた。しかし「窪」という言葉は少しマイナスのイメージがあるため、これに「この土地を久しく保つ」という意味で、「久保」や「久保田」という漢字を当てることがあった。現在では、「窪」「窪田」よりも「久保」「久保田」のほうが多くなっている。

 では、縁起のいい漢字とはどういう漢字が思いつくだろうか。「鶴」や「亀」といった動物に因むもの、「宝」のように財産に因むものなどが思いつく。しかし、圧倒的に多いのはこうした直接何かを指し示すものではなく、「吉」「福」という広い概念を表す漢字である。実際、上位1000位以内で「鶴」のつく名字は2つ、「亀」のつく名字は3つしかなく、「宝」のつく名字は1つもない。

鶴と亀のイラスト「鶴」「亀」「宝」がつく名字は意外と少ない illustration:PIXTA

 それに対して「吉」のつく名字は12個、「福」のつく名字は11個と圧倒的に多く、この2つが縁起のいい漢字を使った名字の代表と言える。自分の所有しているものや、周囲の風景などに対して、こうした縁起のいい漢字を当てて名乗ることで自分の家のさらなる繁栄を願ったのだ。

 そこで、「吉」「福」の漢字を使う名字を名字ランキングから多い順にトップ50を作ってみた。なお、このランキングでは、新旧字体(沢と澤など)は同じとする一方、読み方が違うもの(吉川=よしかわ・きっかわ)は別の名字としている。