本日からスタートした2025年。お正月行事はよく目にしていても実は由来を知らない、という人も少なくありません。そこで今回は飯倉晴武氏監修の『絵と文で味わう 日本人のしきたり』(青春出版社刊)から、お正月行事の由来について、抜粋して紹介します。
初夢:2日の夜に見る夢でその年の運勢を占う
一般的に、正月2日の夜に見る夢を「初夢」といい、見た夢の内容によって、その年の運勢を占います。「なぜ元旦ではなく、正月2日の夜なのか」というと、昔は書き初め、稽古始め、仕事始めなど、年初めの行事が2日だったので、一年のスタートとして2日が重視されたためといわれます。
初夢の信仰は、もともと中国から伝わったもの。「夢を食う」といわれる貘(ばく)の絵を枕の下に入れて、吉夢を見ようとした中国の故事にあやかって、日本でも室町時代には、縁起の良い七福神を乗せた宝船の絵を、枕の下に入れて寝るようにしていました。
江戸時代になると、めでたい初夢というのは「一.富士、二.鷹、三.茄子(なすび)」の順といわれるようになりました。これらは、いずれも徳川家康ゆかりの駿河(するが)(いまの静岡県)の名物で、当時、天下を取った家康にあやかりたいという庶民の願望もあり、こうした夢が吉夢とされました。