「吉」「福」のつく名字トップ3は?
最も多いのは、名字ランキング11位という超メジャーな名字「吉田」。古くからあり、『徒然草』を書いた吉田兼好が有名。次いで多いのが「福田」で、こちらも名字ランキング44位ととてもよく見かける名字である。
江戸時代以前、経済の基本は米であった。大名の所領や武士の俸禄などは「石(こく)」という米の分量で表現され、どれだけ多くの米が収穫されるかが、その経済規模と直結していた。従って、上は大名から下は農民に至るまで米の収穫量をあげることはとても大事なことで、いい米がたくさんとれる田んぼは財産であった。そこで自分の持っている田んぼに対して、いい田んぼでありますように、福をもたらしてくれますようにという意味で、あえて「いい田んぼ=吉田」「福をもたらす田んぼ=福田」という名字を名乗ったのだ。
3番目に多いのは「吉川」。「吉川」には「よしかわ」と「きっかわ」という読み方があり、9割以上が「よしかわ」と読む。水田をつくるためには川が必要だ。そこで、「吉川」とは「いい川」という意味なのだが、実は「吉川」にはもう1つ別の由来がある。それが、植物のアシ(葦)に因むものである。
アシとは水辺に生えるイネ科の多年草で、かつてはごく普通にみられた。古くは葦簀(よしず)や茅葺き屋根の材料など、日常生活の様々な場面で利用されていた。
しかし、「アシ」という言葉は「悪(あ)し」と発音が同じため、関西を中心に縁起を担いで「ヨシ」と言い換えることも多かった。そして、こうしたヨシの茂っている川は「よしかわ」といわれ、漢字ではやはり縁起のいい「吉」の字をあてた。
つまり「吉川」という名字のルーツには、「恵みをもたらす川」という意味の「よしかわ」と、ヨシの茂っている川に因む「よしかわ」の2つがある。しかし、いずれも「縁起のいい漢字をあてた名字」であることに違いない。
家の周りにあったあらゆるものに対し「吉」や「福」を願う
以下、「吉村」「福島」「吉岡」「福井」「吉野」「吉沢」「吉本」までがトップテン。いずれも名字ランキングでは400位以内に入るメジャーな名字である。
このうち「島」とは海に浮かぶ島だけではなく、平野の中にある小高い場所を、海に浮かぶ島に見立てて「島」といったことにも因んでいる。また周囲とは少し違った集団のことを社会的な意味で「島」といった。
「井」はいわゆる井戸のことだけではなく、古い時代には生活に必要な水を得る場所のことを広く指していた。当時は水道がなく、水は川や池から汲んだ。こうした水を汲んだ場所が「井」である。また、田んぼに必要な水を川から引くための用水路も「井」である。いい用水路ができれば田んぼの実りがよくなり、「福」をもたらしてくれる。これを祈った名字が「福井」である。
こうしてトップテンの名字をみると、自分の家の周囲にあったあらゆるものに対して、「吉」や「福」をもたらしてくれることを祈っていることがわかる。そして、そうした言葉を名字にして代々名乗ることによって、子孫にまで「吉」や「福」が続くことを願っているのだ。先祖の願いは、かなえられているだろうか。







