これはビジネスでも同じだ。クライアントや上司への小さな方便であっても、「うそが露見したらどう対応するか」を想定しておくだけで、立ち回りは格段に洗練される。

 うそを恐れるのではなく、うそのリスクを正しく管理する――その意識が必要だ。

 とはいえ、極力うそはつかないほうがよいだろう。常に「うそにはならない言い回し」を考えるようにする。

1、事実の一部だけを語る(選択的真実)
彼とは「直接」の接触はありませんでした→実際には第三者を介して連絡。

2、時間や主語を曖昧にする
「誰か」がその情報を持っていたかも→自分が持っていたが主語をぼかす。

3、質問の意図をずらす(論点回避)
質問:あなたはその計画に関与していましたか?
回答:私は「命令」を遂行しただけ→関与の有無を答えず、責任を上に転嫁。

4、言葉の定義を操作する(語義のすり替え)
「武器」は持っていませんでした→銃器は持たなかったが、毒薬や通信機器は所持。
「会った」とはいえません→リアルでなくオンラインで接触していた。

5、感情や印象で語る(事実ではなく主観)
「するはずがない」と思います→実際にやったかどうかは言っていない。
記憶にありません→定番の逃げ口上。記憶が曖昧という形で責任回避。

 こうした言い回しを、スパイは常に訓練されている。