相手のうそに気づいたとき、わたしはすぐに相手を問いつめるのではなく、あえて「受け入れたふり」をする。「なるほど、そうなのですね」と表面上は受け止め、相手が安心して話を続けるのを待つ。

 うそをつかれたことよりも、「なぜうそをついたのか」を見極める必要があるためである。保身のためや金銭目的、二重スパイの可能性など、うそをついた動機を見抜くことで、相手との信頼関係を終わらせるのか、うそをつかれたことを前提に相手をどう利用するのかを考える。

 怒りや疑いを表に出すと、相手は防衛的になり、むしろ情報提供を閉ざすことになる(心理的リアクタンス)。うそをつかれたときこそ、冷静でいることが大切だ。

 外事警察が協力者に対するときは、「うそを暴く」より「本音を語らせる」ことが優先される。

 相手を問い詰めるより、信頼関係を維持しながら話をさせるほうが、「目的を達成する」ためには、はるかに有効だからである。

うそつきの心を揺さぶり
すべてを話させるに至った

 協力者が外国勢力との接触について虚偽の報告をしたことが発覚したため、冷静に心理的圧力をかけながら追い込んだ。

勝丸:(低く静かな声で)前回の会話で、あなたは「接触はなかった」と言ったね。

協力者:(少し緊張しながら)ええ、はい。あの晩はずっと家にいましたから。

勝丸:(目をそらさずに)そうか。じゃあ、これは何だ?(協力者が外国人と会話している秘撮写真を見せる)

協力者:(沈黙。目が泳ぐ)……それは……ただの偶然の会話です。通りすがりで、深い意味は……。

勝丸:(言葉を遮る)偶然?3分以上話をしている。しかも、君が「接触はない」と言った翌日のことだ。うそをつく理由は何だ?誰を守っている?

協力者:(声が震える)……彼らに脅されたのです。家族のことを……もし話したら、危害を加えると……。

勝丸:(少し間を置いて)なるほど。なら、君のうそは恐怖心からか。それとも、最初から彼らの側だったのか。どちらにせよ、君の立場は危うい。だが、まだ選べる。今ここで、すべてを話すなら、保護も考えられる。黙るなら……君は、彼らと同じ扱いになる。

協力者:(うつむきながら)……わかりました。話します、全部。