写真はイメージです Photo:PIXTA
「具合が悪くてもがんばる」は、長く日本社会で美徳とされてきた。学校現場では皆勤賞がその象徴とされる。この意識はどこから生まれ、なぜ変わりにくいのか。長年、教育現場に携わってきた保坂 亨氏が、その影響について解説する。※本稿は、教育心理学者の保坂 亨『「休むと迷惑」という呪縛 学校は休み方を教えない』(平凡社)の一部を抜粋・編集したものです。
皆勤賞が褒め称えられてきた教育現場
コロナ禍で変化が
「具合が悪くてもがんばって休まないこと」を奨励してきた日本の学校教育の姿勢を象徴するのが、1日も休まないことを褒め称える皆勤賞です。この「皆勤賞」は、人気テレビドラマ『3年B組金八先生』でも登場します。
中学校卒業直前、1日も休んでいなかった生徒が体調不良になってしまい、同級生が「皆勤賞」のために登校させようと協力する姿が放映されました(*1)。他に女性誌で母親歴28年の主婦が、4人の子どもたちが小・中・高と皆勤賞をもらい、母として勲章をもらったような気分だったという読者体験記を見たことがあります(*2)。
ちなみに、ある私立学校では、現在でも卒業式の「皆勤賞」表彰のときに生徒の名前を読み上げると、その生徒本人と保護者が「ハイ」と誇らしげに返事をして立ち上がるそうです。このように「皆勤賞」は、学校教育では「誇るべきこと」として広く受け入れられていたことがわかります。
しかし、それがコロナ禍で一転し、「具合が悪いときはちゃんと休むこと」を社会全体が求めるようになりました。具合が悪いときには会社や学校を休むことが感染防止のために新たなルールとなりました。
*1 第4シリーズ第22話(1996年3月21日放映)
*2 「読者体験手記」婦人公論1343号(2012年3月7日)、中央公論社、36―37頁







