この結果をふまえて、文部科学省は、受験生がインフルエンザなどで体調を崩して欠席した場合の対策として、別日程で追試を実施するよう通知を出しました。ところが、文部科学省が具体的に、二次募集と同じ日程で追試をするケースなどを例示したにもかかわらず、この通知に従う都道府県はほとんどありませんでした。

インフルエンザ受験生クラスの
試験監督教員の安全配慮は?

 ここで、公立高校入試では、これまでインフルエンザにかかっていても、別室で受験していたという事実に驚かれる方(特に医療従事者)も多いのではないでしょうか。

 さすがに他の健康な受験生と一緒にはできないため、インフルエンザ罹患の受験生は別室に集められていました。

 が、その教室の試験監督を罹患していない教員に命ずるのは安全配慮義務に違反する「理不尽な」ことではないでしょうか。労働契約法第5条には、労働者の生命・身体・健康が害されることがないように配慮する義務(安全配慮義務)が明記されています。

 私以外にこうした疑問をもつ教育関係者に出会ったことはありません。加えてこうした高校入試の実態については、これまでほとんど注目もされませんでした。

 それがコロナ禍によって一変し、現在の追試を実施する公立高校入試体制が整って、ようやく具合が悪ければ休んで追試に備えるという状況になったところです。

 そして、2024年に至って文部科学省が、各大学に対して健康上の理由(月経・新型コロナウイルス後遺症を含む)でやむをえず欠席したことにより志願者が不利益を被ることのないよう配慮を求める通知(*4)を出すに至りました。

 それを受けて、公立高校の入試要項にも同様の内容が記されるようになりました。例えば千葉県公立高校入試要綱に追試対象は次のように記されています。

*4 文部科学省「令和7年度大学入学者選抜実施要項について」の別紙9頁に、配慮すべき「志願者本人に帰責されない身体・健康上の理由」として「病気・事故等。例えば、新型コロナウイルス感染症のいわゆる罹患後症状と考えられる症状や月経随伴症状等も含む」と記載されている。これを朝日新聞2024年6月6日が「月経で欠席『入試で不利益ないように』」と報じた。