「研究と修養」はどこまでが仕事?教員を縛るグレーゾーンの正体写真はイメージです Photo:PIXTA

教員は、法律上「研究と修養」に努めることが求められている数少ない専門職だ。研修と自己研鑽、業務と善意、その境界は曖昧なまま運用されてきた。残業代の出ない給与制度や、部活動指導といったグレーな業務も重なり、教育現場は“特殊な労働環境”として成り立っている。こうした仕組みが生み出した歪みとは?※本稿は、教育心理学者の保坂 亨『「休むと迷惑」という呪縛 学校は休み方を教えない』(平凡社)の一部を抜粋・編集したものです。

教員たちに課せられている
「研究」と「修養」とは?

 教育基本法と教育公務員特例法には以下のような条文があります。

教育基本法(教員)

 第九条 法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。

 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

教育公務員特例法(研修)

 第二十一条 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。

 このように教員は「研究と修養」に励み努めることが条文に明記されていて、他に例はない特殊な職業です。この「修養」は、self-helpを翻訳したものとして明治以降に登場しましたが、「自己の向上」を意味するという点で「自己研鑽」と同じものと考えられます(大澤、2022)。

 また、「研究」と「修養」の2つからできた言葉が「研修」とされ、教育委員会等が実施する研修は教員にとっては勤務時間内に行われる労働時間と位置付けられています。