私は当初、この行動様式が続くのか、あるいは元に戻ってしまうのかを観察していましたが、コロナ禍が収束すると、以前の状態に戻りつつある学校と日本社会に驚いてもいます。どうやら問題は「皆勤賞」だけではないようです。

インフルエンザで実力を発揮できず
受験生とその母親が自死

 コロナ禍を経て公立高校入試の「欠席」が見直され、追試験(以下、追試)が当たり前になってきました。しかし、よく考えてみれば、どうしてこれまで高校入試の追試は行われなかったのでしょうか。

 コロナ禍の最中、大学入試センター試験は大学入学共通テストへと変わりましたが、この大学入試センター試験(旧共通一次試験)は、1990年度開始当初から追試が用意されていました。一方、コロナ禍以前、全国の公立高校入試では追試を実施しない都道府県の方が多かったのです。

 2016年に文部科学省が、公立高校入試についてインフルエンザにかかった生徒への対応を調査しました。その結果、追試を実施していると回答したのは66自治体(47都道府県及び19政令指定都市)のうち11府県しかなかったのです。そのため追試を受けた生徒は124人にすぎませんでした。

 その一方で、インフルエンザにかかっているにもかかわらず、入試当日に受験した生徒は2695人もいたことが確認されました。(なお、この受験者たちには別室が用意されました)。

 そもそもこの調査が行われたのは、同年に神奈川県で起きた悲劇がきっかけとされています。神奈川県立高校の入学試験当日にインフルエンザにかかっていた受験生が、試験で実力を発揮できなかったことを苦に自死、母親もその後を追って自死する事件が起きていました。

 この件が、国会審議でも取り上げられたことを受けて、先の文部科学省による全国調査が実施されたのです(*3)。

*3 朝日新聞2017年2月7日「高校入試『インフルの受験生に追試を』」、みんなの学校新聞2017年2月13日「どうなる高校入試の追試験実施」