大切な人数人でも良い
心のこもった年賀状を出してみては?

 ここまでお読みいただいて、「とはいえ、いまさら年賀状を再開するのは大変だ」と感じられた方もいるかもしれません。しかし、重要なのは枚数ではなく、「誰に」「どのような思いで」出すかです。

 全ての取引先や知人に出す必要はありません。まずは、今年1年を振り返ったときに、「この人とのご縁は今後も大切にしたい」と心から思える方を、5人でも10人でも挙げてみてください。

 その方々にだけ、印刷された文章に加えて、短くても構わないので、自分の言葉でひと言を添えるのです。

 長文である必要はありません。

 昨年は○○の件で大変お世話になりました。

 新しい一年が実り多いものとなりますようお祈り申し上げます。

 この程度で十分です。字の上手さを気にする必要もありません。むしろ、多少不器用な字の方が、その人らしさが伝わることもあります。

 大切なのは、相手を思い浮かべ、「ありがとうございます」という気持ちを素直にペン先に乗せることだけです。

 年に一度、新年という特別なタイミングに、相手に負担をかけず、しかし確実に印象に残る形で、自分の感謝と近況を届けられる。それが年賀状の本質的な価値であり、富裕層が今なお大切にし続ける理由でもあります。

「年賀状はもう出さないのが普通」と言われる時代だからこそ、あえて一枚のはがきに思いを込める。その小さな決断が、数年後、数十年後のあなたの人間関係とビジネスを、静かに支えてくれるかもしれません。

参考文献
Zajonc, R. B.(1968)Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology Monograph Supplement, 9(2), 1–27.
Cialdini, R. B.(2009)Influence: Science and Practice(5th ed.)Pearson Education.