大崎が涙の理由を明かせば、小島社長も大崎の姿に水戸の歴史を重ね合わせていたと声を震わせた。
「負けて帰ってきた航詩(大崎)が、責任感から涙を流す姿をいつも見てきたなかで『たまには勝って一緒に喜びたいね』と言い合ってきたんですけど……勝って一緒に泣く、に変わっちゃいましたね」
監督とGMが交代して新体制に
J1基準を満たさないスタジアムの問題も
地域に根ざしたクラブチームとして創設され、茨城県社会人リーグ4部から戦いをスタートさせたのが1994年。親会社をもたない市民クラブにさまざまな人たちの熱い思いと、「お金がなくても勝てる」を合言葉にゆっくりと、そして確実にチームを変えてきたフロント陣の信念が融合された。
昨シーズンも前半戦は公式入場者数が3000人を下回った試合が2つあった。しかし、夢にまで見てきたJ1昇格への機運が高まるとともに右肩上がりに転じ、大分との最終節ではケーズデンキスタジアム水戸の歴代最多となる1万743人が集結。至福の瞬間と歓喜の涙を水戸に関わる全員が共有した。
オフに入ってGMを兼任してきた西村氏が電撃退任。後任を森監督が引き継ぎ、新監督には水戸の元コーチで、昨シーズンはJ1のアルビレックス新潟監督などを務めた樹森大介氏が就任した。J1昇格決定とともに、J1の基準を満たしていない現スタジアムを巡る問題も再び頭をもたげている。
それでも、水戸が歩んでいく道は新シーズンの契約を更新した大崎の言葉に集約される。
「Jリーグ史に残る伝説の続きをお見せします。来シーズンも共に戦いましょう」
そして、水戸の挑戦を「地方の市民クラブがどんどん続いていく契機になれば」と位置づける小島社長は残留を最低限の目標にすえながら、未知の舞台で戦うための経営面の土台作りにすでに着手している。







